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変額保険

変額保険とは

変額保険とは、死亡・高度障害状態時に支払われる死亡保険金や解約返戻金など受け取れるお金の金額が、運用実績によって変動する生命保険商品です。保険会社は、契約者が払い込んだ保険料から諸費用(保険契約の維持に必要な費用など)を差し引いた金額をもとに、株式や債権などの金融商品で資産運用を行います。変額保険は貯蓄機能を持つ保険に分類されるため、掛け捨て型の商品はありません。

定額タイプの保険との違い

変額保険のしくみ図

貯蓄型の保険には変額保険のほかに、定額個人年金保険、定額終身保険といった受け取れる保険金額が決まっている定額タイプの保険もあります。同じ貯蓄型でも定額タイプの保険と変額保険では、運用方法が異なります。
定額タイプの保険は「一般勘定」に分類されており、解約返戻金を運用する際の責任は保険会社が負っています。そのため運用実績に関わらず、加入時に決めた保険金額や解約返戻金の返戻率は、保険期間が終了するまで保証されているのが特徴です。一方で変額保険は、受け取れる保険金額、解約返戻金が運用実績によって増減する「特別勘定」に分類されます。特別勘定では、資産運用自体は保険会社が行いますが、運用の責任は契約者が負わなければなりません。資産運用で損失が出た場合には、保険金や解約返戻金が減額になる可能性があります。

変額保険の種類

変額保険は、保険の期間や保険金の受け取り方によって大きく下記の3種類に分けられます。

保険種類ごとの違いを把握したうえで、商品を選択することが大切です。この章では、種類それぞれの特徴をご紹介します。

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変額有期保険

変額有期保険のしくみ図

変額有期保険は、「65歳まで」「20年間」などというように保険期間が定められているのが特徴です。「養老保険」に近いタイプで、保険期間中に被保険者が死亡や高度障害状態になった場合は「死亡保険金」、保険期間終了時までに生存していた場合は「満期保険金」、保険期間の途中で解約した場合には「解約返戻金」が支払われます。
死亡保険金、満期保険金解約返戻金は運用実績によって変動するため、実績が良ければ支払った保険料の総額よりも受け取れる金額は上回り、反対に損失が出れば下回る可能性があります。ただし死亡保険金には最低保証が設定されており、契約時に決めた基本保険金額は原則下回りません。

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変額終身保険

変額終身保険のしくみ図

変額終身保険は、死亡保障が一生涯続く終身タイプの保険です。死亡・高度障害状態となった場合には死亡保険金が支払われ、保険を途中で解約した場合には解約返戻金が受け取れます。死亡保険金、解約返戻金ともに運用実績によって変動するため、実績が良ければ支払った保険料の総額よりも受け取れる金額は上回ります。ただし死亡保険金には、変額有期保険同様に最低保証がありますが、解約返戻金には金額の保証がありません。そのため解約返戻金の金額は、運用に損失が出れば下回る可能性があります。

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変額個人年金保険

変額個人年金保険のしくみ図

変額個人年金は、払い込んだ保険料を一定期間運用して得られた年金原資を年金形式で受け取れるのが特徴です。保険料は、一定期間もしくは一時払いにて支払います。年金の支払い開始前に被保険者が死亡・高度障害状態となった場合は、死亡保険金が受け取れます。なお死亡保険金の金額は保険会社によって異なり、最低保証があるタイプと支払った保険料の総額相当を保険金として受け取れるタイプの2つから選択が可能です。また年金として受け取る年金額解約返戻金には、原則最低保証がありません。運用実績によっては、保険料の総額を下回る可能性があります。ただし近年では、年金原資・年金受取総額・解約返戻金に最低保証を設定している保険会社も増えてきました。元本割れのリスクが気になる人は、死亡保険金総額だけでなく、年金受取総額にも最低保証がされている商品を選ぶとよいでしょう。

運用する通貨によっても違いがある

保険会社によっては変額保険の運用方法として、日本円だけでなく米ドルなどを用いる「外貨建て」を選択できる場合があります。外貨建てタイプの変額保険では、外貨で保険料を支払い、保険金や解約返戻金を外貨で受け取れるのが特徴です(保険金を円で受け取れるタイプの商品もあります)。また変額保険は資産運用を行うため景気が大きく影響しますが、外貨建てタイプでは、景気に加えて円高・円安といった為替相場が関係します。日本円に換算して考えると、円高の場合では支払う保険料は少なくなる一方で、受け取る保険金額は目減りしてしまいます。反対に円安の場合は支払う保険料は高くなり、受け取る保険金額は多くなります。満期保険金や解約返戻金は為替相場をチェックすることで損失を防げますが、死亡保険金額は自分で受け取るタイミングを選択できません。円高の状態では、残された家族に十分な保険金を残せない可能性があります。外貨建てタイプの変額保険を検討する際は、前述したリスクにも注意が必要です。

変額保険に加入するメリット

保障を持ちながら資産運用を行える変額保険には、下記5つのメリットがあります。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

以下を参考にしながら、それぞれのメリットをしっかりと理解しましょう。

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運用実績によって解約返戻金や満期保険金が増える

変額保険では定額タイプの保険と異なり、解約返戻金や満期保険金の金額は選択した金融商品を資産運用した結果に連動します。そのため運用の実績が良ければ、解約返戻金や満期保険金を増やすことが可能です。また通常、株式や投資信託などの投資商品は、運用して得られた利益に20.315%の課税がされます。しかし変額保険は運用中であれば課税の対象外となるため、運用資金が税金によって減るのを防げます。保険期間中に運用する投資商品の種類を変更しても、税金は引かれません。ちなみに受け取る際に、死亡保険金は一部非課税(法定相続人の数×500万円まで)となりますが、解約返戻金、満期返戻金は一時所得として課税されます。

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死亡保険金に最低保証がある

変額保険では、保険期間中に被保険者が死亡・高度障害状態となった場合に死亡保険金が受け取れます。解約返戻金・満期保険金は運用実績が振るわなければ受け取れる金額が減ってしまいますが、多くの保険会社では死亡保険金に最低保証が設定されており、契約時に定めた基本保険金を下回る心配はありません。また反対に運用実績が一定を上回った場合は、受け取れる死亡保険金の金額も増えます。

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生命保険料控除を受けられる

生命保険料控除とは、所得控除のひとつです。加入している保険の種類によって、支払った保険料が「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3つに分類され、一定の金額を所得から差し引くことができます。変額保険も生命保険料控除の対象に含まれており、加入する保険タイプによって控除の対象となる項目が異なります。

要支援・要介護認定に関わる身体状態の例
変額保険の種類 対象となる生命保険料控除
変額有期保険・変額終身保険 一般生命保険料控除
変額個人年金保険 ・保険料の支払期間が10年以上:個人年金保険料控除
・保険料を一時払で支払う:一般生命保険料控除

なお保険に加入した時期によって、所得から控除できる上限額(※)に違いがあるため、下記の画像を確認してみてください。
※平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料(新契約)と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料(旧契約)では、生命保険料控除の取扱いが異なります。

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定額タイプの貯蓄型保険に比べて保険料が割安

変額保険は、運用の実績によって解約返戻金、満期保険金が増減することから、一般的に終身保険や個人年金保険といった定額タイプの貯蓄型保険に比べて保険料が安い傾向にあります。特に死亡保険金については、運用の実績に関係なく契約時に決めた基本保険金額が最低保証されるため、毎月の保険料を抑えつつ、保障を持ち続けられるのが魅力です。

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インフレ対策に効果が期待できる

定額タイプの保険では、死亡保険金や満期保険金は契約時に定めた金額から変わりません。そのため、物価が上昇してお金の価値が下がるインフレの状態になると、結果的に保険金の価値が減少する可能性があります。しかし変額保険は、資産運用によって解約返戻金や満期保険金が変動するため、インフレによる保険金の目減りを抑えられるとされています。ただし運用の責任は契約者が負う必要があり、必ずしも解約返戻金や満期保険金が増えるというわけではありません。インフレ対策に一定の効果が期待できると覚えておきましょう。

変額保険に加入するデメリット

メリットの多い変額保険ですが、一方で下記のような3つのデメリットもあります。ひとつずつ詳しく紹介するので、加入を検討する際の参考にしてみてください。

以下を参考にしながら、それぞれのメリットをしっかりと理解しましょう。

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元本割れのリスクがある

変額保険は定額タイプの終身保険や養老保険のように、保険期間の終了時には満期保険金・解約時には解約返戻金が受け取れる場合があります。しかし金額は運用実績によって増減するため、元本割れのリスクに注意しなければなりません。変額保険は保障よりも投資性が強く、長期間運用し続けることで大きな利益を見込める保険商品です。もし運用実績がマイナスのタイミングで満期を迎えたり解約をした場合には、支払った保険料の総額よりも受け取れる解約返戻金が少なくなる可能性があります。

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デフレ期では解約返戻金や満期保険金が減る可能性がある

物の値段に対して相対的にお金の価値が上がるデフレ期には、企業の業績が伸び悩み、株式市場が低迷する傾向にあります。株式市場の低迷が続くと、変額保険の運用実績がマイナスになる可能性が高まるため、解約返戻金や満期保険金の減少に注意しなければなりません。また保険金が減ってしまと、定額タイプの保険よりも保険料が割高になり、結果的に損失につながる場合があります。変額保険は、デフレ、インフレといった景気の影響を大きく受ける保険商品だということを忘れず認識しておきましょう。

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投資商品に比べて保険料が割高

変額保険に払い込む保険料は全額が資産運用に使われるのではなく、保険会社の運用関係費や保険関係費も含まれています。そのため株式や投資信託といった投資のみの金融商品と比べると、保険料は割高に設定されている場合が多くあります。しかし変額保険は保険料が高い分、死亡・高度障害時の保障を持てるのが利点です。資産運用をしつつ、保障を持ちたいという人には適しているといえます。

変額保険はこんな人におすすめ

変額保険にはメリット、デメリットの両方がありますが、具体的にはどのような人が加入に向いているのでしょうか?ここでは変額保険への加入がおすすめな人の特徴を、下記の3つにわけてご紹介します。

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保険を活用して資産運用をしたい人

変額保険は保障を持ちながら、満期保険金や解約返戻金の受け取り金額を運用によって増やせる保険商品です。同じように貯蓄機能がある定額タイプの終身保険や養老保険よりも、資産運用の結果が満期保険金や解約返戻金におよぼす影響が大きく、運用実績がプラスになれば受け取る金額が大幅にアップにする可能性があります。万が一に備えつつ、将来に向けた貯蓄を行えるため、保険を活用して資産運用をしたいと考えている人には特におすすめです。ただし資産運用の実績が下回れば、もちろん受け取れる金額も減少するということを忘れないようにしましょう。

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資産運用の手間を減らしたい人

一般的に資産運用を行う場合、投資する金融商品の種類や売却のタイミングなどを自分で判断して手続きしなければなりません。しかし変額保険は、加入時に投資する金融商品のジャンルをおおまかに決めてしまえば、商品の買付や売却など資産運用に必要な手続きをすべて保険会社が行ってくれます。投資に関する知識がない人でも、手軽に資産運用をはじめられるのが魅力です。

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資産運用と万が一の死亡保障の両方がほしい人

変額保険は死亡保険金に加えて、運用実績により満期保険金や解約返戻金を増やせる場合があるため、万が一の備えと資産運用を同時に行えます。また変額保険の死亡・高度障害保険金には最低保証が定められており、運用実績がマイナスになっても契約時に決めた基本保険金額を下回ることはありません。1つの商品で保障と貯蓄の両方を持ちたい人には、おすすめの保険といえます。

変額保険をおすすめできない人の特徴

変額保険への加入を向いていない人には、下記のような3つの特徴があります。加入前に当てはまる項目がないか、チェックしておきましょう。

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保険金・解約返戻金の変動や元本割れのリスクを避けたい人

変額保険は運用実績によって死亡保険金、解約返戻金、満期保険金が変動するため、最終的に受け取れる金額を事前に把握することはできません。死亡保険金には最低保証がありますが、解約返戻金、満期保険金には最低保証がないため、運用実績によっては元本割れする可能性があります。大きな保障を準備したい人や元本割れが気になる人は、市場の動向に関係なく保険金や解約返戻金を受け取れる、掛け捨て型の生命保険や終身保険を選ぶようにしましょう。

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自分で資産運用をしている人

変額保険は保障と資産運用を同時にできるのが魅力のため、株式や投資信託ですでに資産運用を行っている人には不向きといえます。変額保険のデメリットでも解説しましたが、変額保険の保険料は全額が資産運用に回されるわけではありません。保険料の中には保障を持つための運用関係費などが含まれており、純粋な投資商品に比べると保険料は高めに設定されています。自分で資産運用を行える人は、掛け捨て型の生命保険で保険料を抑えつつ保障を準備し、投資に回すお金を増やすようにするのがおすすめです。

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万が一の保障と貯蓄は別にしておきたい人

変額保険は、1つで万が一の保障と資産運用による貯蓄を備えられる便利な保険ですが、保険のみ・貯蓄のみとどちらか一方のみを求める人には内容が不十分となる可能性があります。保険と貯蓄を分けて準備したいと考えている人には、おすすめできません。保険をメインで備えたい場合は定額タイプの生命保険、保険よりも貯蓄に重点をおきたい場合はNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった投資商品というように、生命保険と投資商品をうまく組み合わせるとよいでしょう。

変額保険を選ぶ際のポイント

変額保険を選ぶ際に着目すべき重要なポイントとしては、下記の4つが挙げられます。自分の希望に合う商品を見つけるために、1つずつしっかりと確認しましょう。

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どの保険タイプがよいか

変額保険への加入を検討する際に、まず考えなければならないのが保険の種類です。変額有期保険、変額終身保険、変額個人年金保険の3種類のうち、どのタイプが自分の希望に合っているかを考える必要があります。各タイプごとに適した用途をご紹介するので、参考にしてみてください。

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変額有期保険・変額個人年金保険

子どもの教育費用や老後の生活資金など、生きているうちに保険金を受け取りたい場合は、満期保険金や年金を受け取れる変額有期保険・変額個人年金保険が適しています。変額有期保険では、契約期間を10年・20年というように選択でき、必要なタイミングで満期保険金を受け取ることが可能です。また変額個人年金保険では、保険料を一括で支払えるタイプもあるため、退職金などまとまったお金を老後資金として運用したい場合にも活用できます。

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死亡保険金の最低保障額はいくらにするか

変額保険に加入する際には、万が一のときに家族に残すお金として最低でどのくらいの金額が必要なのかを考えなければなりません。残された家族の生活費はもちろん、子どもの教育費や自身の葬儀費用なども準備しておく必要があります。死亡保険金は運用実績によって増える可能性はありますが、最低保証額は家族が困らない金額を備えるようにしましょう。

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運用する投資商品は何にするか

変額保険の運用実績は、運用する投資商品によって大幅に変化します。変額保険の運用対象として選択できる投資商品は、主に下記の6種類です。なお選択できる投資商品は、保険会社によって異なります。また、ドル建て・円建てのどちらで運用していくかも大切なポイントです。どの投資商品にすべきか迷ったときは、過去の運用実績を参考にすると選びやすくなるでしょう。

代表的な投資商品の種類

国内株式
・外国株式
・新興国株式
・外国債券
・海外REIT(不動産投資信託)
・バランス型(株式や債券などを組み合わせたもの)

まとめ

変額保険は、保障と貯蓄機能の両方を兼ね備えており、死亡保険金、満期保険金、解約返戻金が資産運用の実績によって変動します。定額タイプの保険に比べて投資性が高く、運用実績がプラスになれば受け取る金額を増やせるのが魅力のひとつです。ただし反対に運用実績がマイナスになった場合には、元本割れに注意しなければなりません。変額保険の運用責任は契約者にあるため、運用対象の投資商品選びは慎重に行う必要があります。変額保険の特徴やメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、加入を検討しましょう。

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