エンゲル係数とは?食費の平均データから節約術まで紹介!
食費は家計の支出の中でも大きな割合を占めますが、適切な金額を使えているのかを判断するのは難しいものです。現在の生活水準を表す指標に、エンゲル係数という数値があります。エンゲル係数を算出すると支出内の食費の割合を把握でき、収入と支出のバランスがとれているかを確認できるのです。本記事ではエンゲル係数から具体的にどんなことがわかるのか、世帯人数や年収ごとの食費の平均はいくらかなどを詳しく解説します。すぐに実践可能な食費を節約するコツもご紹介するので、家計を見直すきっかけとしてぜひ参考にしてみてください。
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エンゲル係数とは
エンゲル係数とは、家計の消費支出に対する食費の割合を示す数値のことです。消費支出とは住居費や光熱費などの生活費を指しており、エンゲル係数を計算することで生活費の中でも食費にお金をかけすぎていないかの確認ができます。なお、エンゲル係数の計算方法は以下のとおりです。
<エンゲル係数の計算方法>
エンゲル係数(%)=食費÷消費支出×100
また、エンゲル係数は生活水準を示す数値としても用いられます。支出に占める食費の割合が高いというのは、食費以外に回せる余裕資金が少ないということです。反対に収入が上がるほど、消費支出の中に占める食費の割合は小さくなります(エンゲルの法則)。そのため一般的にエンゲル係数が高いと生活水準は低く、エンゲル係数が低いと生活水準は高くなる傾向があります。
全世帯のエンゲル係数の平均
総務省統計局が行った2023年家計調査(家計収支編)では、全世帯の1ヶ月あたりの消費支出は247,322円・食費は67,078円でした。消費支出・食費をもとにエンゲル係数を算出すると、平均は27.1%です。日本のエンゲル係数は2000年には23.3%でしたが、2015年には25.0%・2020年には28.5%と高い数値を維持しています。その背景には共働き世帯の増加によって外食をする頻度が増えたなど生活スタイルの変化はもちろん、消費税の増税や物価高に対して所得があまり上昇していないという現状があります。エンゲル係数はそれぞれの家計の事情だけでなく、社会情勢も反映しているのです。
出典:総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)年間収入五分位・十分位階級別」
出典:総務省統計局「家計調査年俸(家計収支編)総世帯・二人以上の世帯・単身世帯)」
1ヶ月あたりの食費の平均額
総務省統計局が毎年行う家計調査(家計支出編)では、さまざまな観点から食費の平均データが掲載されています。なお、2023年における全世帯の平均食費は1ヶ月あたり67,078円でした。今回は2023年の調査結果から、世帯人数・世帯主の年齢・年収・地域ごとの1ヶ月あたりの平均食費・消費支出をご紹介します。エンゲル係数も算出しているので、自分と同じ状況の世帯は食費にいくらぐらい使っているのかぜひ参考にしてみてください。
世帯人数別
世帯人数別の1ヶ月の平均食費と消費支出、それをもとに算出したエンゲル係数は以下のとおりです。
世帯人数 |
1ヶ月の平均食費 |
1ヶ月の消費支出 |
エンゲル係数 |
1人 |
42,049円 |
167,620円 |
25.1% |
2人 |
72,399円 |
264,238円 |
27.4% |
3人 |
85,557円 |
312,567円 |
27.4% |
4人 |
90,712円 |
323,324円 |
28.1% |
5人 |
101,806円 |
341,971円 |
29.8% |
6人以上 |
110,532円 |
337,263円 |
32.8% |
出典:総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)世帯人員・世帯主の年齢階級別」
世帯人数ごとの食費は、人数が増えるほど1人あたりの食費が低くなる傾向があります。1人あたりの食費は世帯人数が4人の場合は約22,678円ですが、世帯人数が2人では約36,200円とおよそ1.5倍にまで増えていました。家族が多い家庭ほどエンゲル係数は高くなるものの、食費を節約しようという意識が強いことがわかります。
年齢別
世帯主の年齢ごとの1ヶ月の平均食費と消費支出、それをもとに算出したエンゲル係数は以下のとおりです。
世帯主の年齢 |
1ヶ月の平均食費 |
1ヶ月の消費支出 |
エンゲル係数 |
29歳以下 |
41,509円 |
181,467円 |
22.9% |
30〜39歳 |
64,792円 |
241,932円 |
26.8% |
40〜49歳 |
79,060円 |
295,846円 |
26.7% |
50〜59歳 |
73,316円 |
296,527円 |
24.7% |
60〜69歳 |
72,790円 |
266,583円 |
27.3% |
70歳以上 |
61,591円 |
207,510円 |
29.7% |
出典:総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)世帯人員・世帯主の年齢階級別」
食事量は年齢によって変化しますが、特に30〜49歳までは食費が高く、エンゲル係数も29歳以下と比べて上昇していることがわかります。世帯主の年齢が30〜50代までの家庭は子育てをしている場合が多く、食べ盛りの子どもがいることも食費が高くなる原因の1つといえるでしょう。
年収別
世帯年収ごとの1ヶ月の平均食費と消費支出、それもとに算出したエンゲル係数は以下のとおりです。
世帯年収 |
1ヶ月の平均食費 |
1ヶ月の消費支出 |
エンゲル係数 |
平均 |
67,078円 |
247,322円 |
27.1% |
239万未満 |
39,883円 |
138,112円 |
28.9% |
239万〜361万未満 |
58,553円 |
198,950円 |
29.4% |
361万〜512万未満 |
65,248円 |
236,639円 |
27.6% |
512万〜753万未満 |
76,193円 |
278,877円 |
27.3% |
753万以上 |
95,511円 |
384,031円 |
24.9% |
出典:総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)年間収入五分位・十分位階級別」
前述したエンゲルの法則によると、世帯の収入が上がるほど消費支出に占める食費の割合が小さくなるため、エンゲル係数は低くなる傾向があります。実際に2023年のエンゲル係数をみると、年収239万未満は28.9%・239万〜361万未満では29.4%と高いですが、361万〜753万未満では27%台と約2%もの差が開いています。
地域別
地域別の1ヶ月の平均食費と消費支出、それをもとに算出したエンゲル係数は以下のとおりです。
地域 |
1ヶ月の平均食費 |
1ヶ月の消費支出 |
エンゲル係数 |
北海道地方 |
58,804円 |
232,409円 |
25.3% |
東北地方 |
63,437円 |
230,889円 |
27.4% |
関東地方 |
70,324円 |
260,686円 |
27.0% |
北陸地方 |
68,223円 |
259,170円 |
26.3% |
東海地方 |
69,007円 |
244,800円 |
28.2% |
近畿地方 |
69,017円 |
248,818円 |
27.7% |
中国地方 |
62,486円 |
229,463円 |
27.2% |
四国地方 |
59,980円 |
233,490円 |
25.7% |
九州地方 |
60,789円 |
230,163円 |
26.4% |
沖縄地方 |
58,668円 |
196,053円 |
29.9% |
出典:総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)都市階級・地方・都道府県庁所在市別」
地域別で見比べると、関東・北陸・東海・近畿地方といった企業が多い都市部のエリアほど、1ヶ月あたりの平均食費は高くなっています。物価の違いはもちろん、年収や外食の頻度なども食費の差に大きく影響しているといえるでしょう。
食費の計算方法
ここまでさまざまな観点から世帯ごとの平均食費をみてきましたが、実際のところ自分の家庭の食費の理想金額はどうやって算出すればよいのでしょうか。食費の計算方法には2種類あり、エンゲル係数を使うパターン、収入と支出から算出するパターンがあります。それぞれの具体的な考え方を解説するので、自分の家庭に置き換えて計算してみてください。
エンゲル係数から計算する
エンゲル係数は支出に占める食費の割合を示すため、この割合を用いれば目安となる食費を計算できます。先ほどの総務省統計局「2023年家計調査(家計収支編)」より算出した全世帯のエンゲル係数の平均27.1%を使用すると、月収が30万であれば食費は81,300円となります。ただし食費は家庭によって必要な金額が違うため、必ずしもエンゲル係数から計算した金額が理想というわけではありません。あくまで参考とし、家庭の状況に合った食費はいくらかを考えましょう。
収入と支出から計算する
手取り収入から支出できる金額を算出し、食費を決めることも可能です。手取り収入から貯蓄分を除いた後、住居費・水道光熱費・通信費などの固定費を差し引き、残った金額を食費とします。食費として残る金額が少ない場合は固定費を支払すぎている可能性があるため、食費以外の支出を見直しましょう。
食費を節約するコツ
食費の平均データをみて、もう少し支出を減らしたいと感じた人もいるのではないでしょうか。毎月の予算を決めたり自炊の頻度を増やしたりするだけでも、食費を抑えられます。そこで、本章では食費を節約するコツを9つご紹介します。すぐにはじめられるものばかりなので、ぜひ試してみてください。
1.予算を決める
食費の使いすぎを防ぎたいなら、予算を決めて管理しましょう。月だけでなく、週ごとに予算を振り分けるとより効果的です。ただし予算内に収めることを意識しすぎるあまり、節約するのが苦痛になってしまうのはよくありません。節約を楽しみながら続けるために、はじめは予算を理想よりもやや余裕をもたせて設定し、少しずつ減らしていきましょう。
2.家計簿をつける
食費を節約するためには、まず現時点で毎月の生活費にいくら使っているのか把握することが大切です。家計簿をしっかりつけ、食費を含めた毎月の支出を確認しましょう。最近では、レシートを撮影するだけで手軽に家計簿をつけられるアプリもあります。レシートの内容を見直すことで無駄なものを買っていないかチェックもできるため、アプリをうまく活用して家計簿に記録する習慣を身につけましょう。
3.事前に買うものを決めておく
買い物に行く頻度が増えると、ついつい必要のないものまで一緒に買ってしまうことはよくあります。無駄なものを買わないよう買い物に行く前には、購入するもののリストを作るのがおすすめです。まとめ買いをすることで買い物にこまめに行かなくてもよくなり、余計な出費を減らせます。
4.コンビニの利用は控える
コンビニはさまざまなアイテムがそろっていますが、価格はスーパーに比べると高い傾向があります。コンビニを頻繁に利用するのは、食費がふくらむ原因になるため注意が必要です。買い忘れたものをコンビニで購入することがないよう、買い物リストを活用し、スーパーですべてそろえるようにしましょう。
5.価格の安い食材を使う
きのこ類やもやしなど、価格の安い食材を献立に多く取り入れることも節約につながります。じゃがいもや玉ねぎといった根菜は価格が安いうえに長く保存できるため、セール時にまとめ買いするとよいでしょう。また、トップバリュやセブンプレミアムなどのプライベートブランドを購入するのもおすすめです。手頃な価格ながらメーカーの商品とクオリティに大きな差はないため、調味料などにこだわりがなければ積極的に活用しましょう。
6.できるだけ自炊する
食費を節約するには、自炊が欠かせません。毎月の食費が高い場合は外食の頻度が多い可能性があるため、少しずつ自炊する習慣をつけましょう。ただし節約のためと、外食をゼロにする必要はありません。忙しい日はお惣菜やお弁当にするなど、適宜外食も取り入れて節約を無理なく続けることが大切です。毎月の食費の中から外食に使える予算をあらかじめ決めておくと、使いすぎを減らせるでしょう。
7.食材を無駄なく使い切る
せっかくセール時に食材をまとめ買いしても、賞味期限切れで食べられなくなってしまっては意味がありません。また冷蔵庫の中がごちゃついていると、同じものを買ってしまい無駄な出費が増えてしまいます。今ある食材をしっかり使い切るためにも、冷蔵庫の中は整理整頓してきれいな状態を保ちましょう。
8.冷凍保存や作り置きをする
自炊は食費の節約になりますが、仕事で帰りが遅いなど毎日するのが難しい人もいるのではないでしょうか。自炊を無理なく続けるためには、食材の冷凍保存や作り置きをするのがおすすめです。カットした野菜や肉・魚を味つけした状態で冷凍保存しておけば、家に帰ってきてすぐに調理をはじめられます。作り置きはおかずにもう一品ほしいときに食べられるだけでなく、お弁当にも活用できて便利です。
9.ふるさと納税を活用する
ふるさと納税とは、自治体への寄付に対して、特産品などの返礼品を受け取れる制度のことです。寄付額のうち2,000円を超える部分は所得税・住民税から控除されます。ふるさと納税の返礼品には、お米や肉など食材の種類も豊富です。食費の節約・税金対策を一緒に行えるので、積極的に活用しましょう。
食費と一緒に固定費の見直しも
せっかく食費を抑えても、住居費・水道光熱費・通信費などの固定費が大きければ家計の支出は減らせません。固定費は支出の中でも占める割合が多く、特にスマートフォンなどの通信費は家族の人数分だけ金額も増えます。日々の行動によって減らせる食費とは異なり、固定費は一度の見直しで節約効果が長続きするため、食費の節約と一緒に適正金額かを考えてみましょう。せっかく生活費を抑えても、娯楽などに使ってしまっては意味がありません。節約できた部分は少しでも貯蓄や投資に回し、将来に向けて備えることも忘れないようにしましょう。
まとめ
エンゲル係数とは、家計の支出の中で食費が占める割合を示す数値です。全世帯のエンゲル係数や食費の平均データを知ることで、自身が食費を使いすぎていないかを確認できます。まずは現時点の収入と支出、エンゲル係数から家庭の理想とする食費の金額を考えましょう。食費の節約にはさまざまコツがありますが、自炊を増やしたりまとめ買いをしたりと普段の行動を少し変えるだけでも節約につながります。また支出を抑えるには食費と一緒に、固定費の見直しも行いましょう。食費の節約に加えて、家計の無駄を減らすには具体的にどうすればよいか迷ったときは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。食費をはじめとした支出を賢く抑え、将来に向けた備えをはじめていきましょう。
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