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ふるさと納税が10月にルール変更!改定の影響をわかりやすく解説

ふるさと納税 その他

202310月から、ふるさと納税のルールが一部変更になったことをご存知でしょうか。今回のルール変更・改正によって、これまでと同様の金額で同等の返礼品を受け取ることが難しくなるともいわれています。

本記事では202310月からふるさと納税制度がどのように変わったのか、2つの大きなルール改正について紹介します。ふるさと納税の制度の概要やメリットについても紹介するので、「ふるさと納税を初めて利用しようか検討中」という方もぜひ読み進めてみてください。

監修者
監修者増田 諒

全国に約900世帯、約1,300名のクライアントを抱えるファイナンシャルプランナー。

年間100世帯を超える個別相談を行いながら、「ライフプランニング」「資産運用」「保険」「確定申告」「住宅ローン」「相続」等のテーマのセミナーで人気講師を務める。

【保有資格】
・MDRT入賞7回 ・TLC(生命保険協会認定FP) ・CFP ・IFA(証券外務員1種) ・ファイナンシャルプランニング技能士1級 ・宅地建物取引士 ・貸金業務取扱主任者

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そもそも「ふるさと納税」とは

ふるさと納税の制度変更について解説する前に、そもそも「ふるさと納税とは何か?」についておさらいしていきましょう。

ふるさと納税は任意の自治体に寄付をすることで、寄付した金額のうち2,000円を引いた金額(一定の上限あり)が翌年の税金から控除される制度です。

制度が始まったのは、過疎などにより税収減少が進んでいる地域とそうでない都市部との「地域間格差」を是正することなどが目的です。

例えば、応援したい自治体に30,000円を寄付したとしましょう。後日、寄附金控除の手続きをすることで寄付金額から2,000円を差し引いた28,000円分が自身の納めるべき税金から減ることになります。所得税では寄付金分の「所得控除」、住民税では「税額控除」が適用される仕組みです。

上記の例では実質2,000円の負担で30,000円の寄付をおこなったということができるでしょう。

寄付金額から自己負担額として2,000円が差し引かれた金額が翌年の税金から控除されることに加え、寄付した自治体が提供している「返礼品」を受け取れる場合もあります。

 

控除金額には上限がある

ふるさと納税を行う前に知っておきたいことが、「ふるさと納税で控除を受けられる金額には上限がある」ということです。

寄付金額は全額を控除できるとは限らず、納めている税金の金額や寄付をする人の家族構成、年収(所得)、すでに受けている税金控除の金額によっても変わってきます。

ふるさと納税で寄付した全額が控除される納税額の年間上限の目安は、家族構成と本人の年収によって以下のように異なります。

ふるさと納税を行う本人の年収 ふるさと納税を行う方の家族構成
独身又は共働き 夫婦

共働き

子1人
(高校生)

共働き

子1人
(大学生)
夫婦

子1人
(高校生)
共働き

子2人
(大学生と高校生)
夫婦

子2人
(大学生と高校生)
300万円 28,000 19,000 19,000 15,000 11,000 7,000
350万円 34,000 26,000 26,000 22,000 18,000 13,000 5,000
400万円 42,000 33,000 33,000 29,000 25,000 21,000 12,000
450万円 52,000 41,000 41,000 37,000 33,000 28,000 20,000
500万円 61,000 49,000 49,000 44,000 40,000 36,000 28,000
550万円 69,000 60,000 60,000 57,000 48,000 44,000 35,000
600万円 77,000 69,000 69,000 66,000 60,000 57,000 43,000

出典:総務省|ふるさと納税のしくみ

 

202310月からふるさと納税が改正!10月からの変更点とは

実質2,000円の負担で大きな寄附金控除と返礼品の受け取りができる点が魅力の「ふるさと納税」ですが、202310月からルールが変更・改正される点が大きくわけて2点あります。

ここからは、202310月から適用になる、ふるさと納税のルール変更・改正の内容を紹介しましょう。

 

経費ルールの変更

まず1つめの変更点が「経費ルールの変更・改正」です。

本来、ふるさと納税に割り当てられる地方自治体の必要経費として「5割ルール」と呼ばれるルールが存在していました。 

【ふるさと納税の「5割ルール」とは】

・事務手数料や送料などの経費は寄付金額の5割までとする

・そのうち返礼品は寄付金額の3割までとする

例えば10,000円の寄付をすると、返礼品の3,000円を含んだ5,000円が経費とされ、実際に自治体に寄付されるのはおよそ5,000円です。

ただ、今回のルール改正によって経費に含める項目が追加されました。

追加されたのは「ワンストップ特例事務費用」「寄附金受領証の発行と発送費用」「その他の付随費用」の3つで、これらは隠れ経費と呼ばれる項目です。

新しい規定ではこれらの3つを加えて寄付金額の5割以内に経費を含める必要があります。

2023年10月以降は経費を5割以内に抑えるために返礼品の金額が上がったり、返礼品の質を下げたりすることが予想されます。

 

「地場産」の基準の変更

2つ目のルール変更点は「地場産」の基準が変更されたことです。

202310月から、「返礼品は地場産である」というルールに変更されました。

地場産とは:その地域で作られたもの

・熟成肉・精米の返礼品は原材料が同一都道府県のみ

・他地域産の品と地元産の品をセットにするケースでは地元産の品が全体価格の7割以上になること

出典:総務省|ふるさと納税の次期指定に向けた見直し

202310月からは「熟成肉」「精米」について基準が厳格になることが分かります。202310月からは、同じ都道府県産品を原料とする場合でなければ、地元産品として返礼品に利用できません。

例えば外国産の牛肉を地元で熟成させて熟成肉とするようなケースでは、返礼品として指定することができなくなります。

 

ふるさと納税の改正によって考えられる影響3

これまでは、外国産の肉を自治体内で熟成させることで返礼品として利用するケースもあったようですが、ルール改正によって利用できなくなります。

今回のルール改正では、ほかにもさまざまな影響が考えられます。ここからはふるさと納税の制度改正による影響を紹介します。 

 

必要な寄付金額が上昇する

まず、新ルールの「経費ルールの改正」によって、寄付金額が上昇して還元率が下がる可能性があります。

新ルールによって「経費の5割ルール」に含める項目が増えたことで、これまでと同じ返礼内容では経費を5割以内に抑えられない自治体も出てくるはずです。

これまで経費に含まれなかった部分を含めつつ、経費を5割以内に抑えるためには「寄付金額を上げる」というのが1つの方法です。

例えば、今まで「隠れ経費を含めると6割、含めないと5割の経費だった」返礼品があったとします。これまでは10,000円だった寄付金額が、新ルールのもとで経費率を5割に抑えるために寄付金額が12,000円に上昇することになるかもしれません。

 

返礼品のラインナップが縮小する

今回の改正で考えられる2つ目の影響が、返礼品のラインナップが縮小することです。

地場産品の定義が厳格になったことから、これまで返礼品として人気だったものでも今後は含むことができなくなる可能性があります。基準を満たさない場合は返礼品としてふるさと納税サイトでの掲載ができなくなり、ラインナップが大幅に減少することも考えられるでしょう。

もちろん、ただラインナップが減少するだけでは自治体の税収減になるため、今後は新ルールでも掲載できる返礼品にシフトしていくことになるでしょう。

 

返礼品の質・量が今までよりも落ちる

経費に含まれる項目が増えたうえで経費を寄付金額の5割におさめることが必要になったことで、返礼品の質や量の減少も懸念されます。

計上する経費の種類が増えたうえで経費率を5割に抑えるには、寄付金額の値上げをするか経費を抑えるために返礼品の質や量を抑えるしかなくなるでしょう。

これまでと同様の条件で返礼品を出すことが難しくなることから、今までとは大幅にラインナップが変更になる可能性もあります。

例えば一部の市区町村では、「送料がかからない返礼品」を増やすことで経費削減を狙っています。観光客などがその場で返礼品を受け取る「現地決済型」であれば送料の負担がなくなり、質・量の縮小や値上げをしなくても良くなるという狙いです。

そのほか寄付をした人に個別に返礼品を送るのではなく、大きくの寄付が寄せられる人気商品を一か所の倉庫に一括で送ることで送料を削減する取り組みも検討されているようです。

 

今からでも遅くない!ふるさと納税の始め方・流れ

202310月からはルール変更・改正によって今までと違う返礼品ラインナップになる可能性もありますが、「お得に寄附金控除が受けられる制度」であることに変わりありません。

ここからは、「これから初めてふるさと納税にチャレンジする」という方に向けて、ふるさと納税の始め方の流れについてご紹介しましょう。

 

まずは自分の寄附上限額を知る

ふるさと納税を始めると決めたあと、まず行うべきは「ご自身(ふるさと納税を行う人)の控除上限額を調べること」です。控除の上限額は寄付をする人の年収・家族構成・扶養者の有無などによって異なります。

上記の条件から算出された「控除上限額」が、ふるさと納税の寄付金額の目安にあります。

ご自身がいくらまで寄付できるか知りたい場合、まずは本記事の「控除金額には上限がある」をご覧ください。目安になる金額が表示されているので、その金額が参考になります。

ご自身で計算したい場合は、以下の計算式で計算してみることも可能です。

控除限度額=(個人住民税所得割額×20%)÷100%−住民税基本分10%−(所得税率×復興税率1.021%)+自己負担金2,000円

あるいは、ふるさと納税のサイトで提供されているシミュレーションを使ってみることも可能です。

例えばふるさとチョイスの「¥控除上限額シミュレーション」では、以下の項目を入力することで控除上限額が自動的に計算されます。

  • ・あなたや家族の所得はいくら?
  • ・あなたの家族構成は?
  • ・あなたの保険料や控除額は?

出典:ふるさとチョイス|¥控除上限額シミュレーション

 

寄附する自治体を決めて申し込む

控除の上限額がハッキリしたあとは、ふるさと納税のサイトを利用して、寄付したい自治体を決めていきましょう。

各ふるさと納税サイトでは、全国さまざまな自治体の返礼品を検索して寄付する先を選ぶことができます。寄付したい自治体を決めたあとは返礼品の内容を確認し、寄付の申込ボタンから手続きを進めましょう。

ふるさと納税サイトを使うのが分かりやすくて早いですが、各自治体から直接「寄附金申込書」を取り寄せて申し込むことも可能です。

また、寄付をする際はふるさと納税で寄付したお金の使い道を指定することもできます。寄付金が一体どんな取り組みに使われるのか知りたい気持ちがある方は、使い道が指定できる自治体を寄付先に選ぶと良いでしょう。

 

確定申告で寄附金控除をおこなう

寄付が完了したあとは、自治体からのお礼として返礼品と、寄付を受け付けたことを証明する「寄附金受領証明書」が発行されます。

ふるさと納税で寄付した分の控除を受けるなら、寄附金控除の手続きを行うことになります。

1年間でふるさと納税の寄附先が6自治体以上の方は後述する「ワンストップ特例制度」が利用できないので、通常の確定申告で寄附金控除を申告することになります。自営業者など「もともと確定申告が必要な方」も同様です。

一方、もともと確定申告が不要な人(会社員など)で、1年間でふるさと納税の寄附先が5自治体以下の人は、ふるさと納税ワンストップ特例制度によって確定申告をせずに寄附金控除を受けられる場合があります。

ワンストップ特例制度では、ふるさと納税を行う際に寄付を行う自治体に対して「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出することで確定申告が不要になります。

会社員の人は確定申告が不要で手続きできる「ワンストップ特例制度」を利用できるか確認してみましょう。

寄附金控除の手続きを期限までに行えば、住民税の控除・所得税の還付がされます。ただし、ワンストップ特例では「住民税の控除のみ」、確定申告では「所得税の還付」「住民税の控除」が受けられるといった具合に控除内容が異なります。 

確定申告 ワンストップ特例聖子
対象条件 ・ふるさと納税以外の確定申告が不要な方 ・元から確定申告が必要な方(自営業者など)
・1年間でふるさと納税の寄附先が5自治体以下の方 ・1年間でふるさと納税の寄附先が6自治体以上ある方
申請方法 寄附ごとに各自治体へ申請 年に1回税務署に申告
申告期限 翌年1月10日 翌年3月15日
税金控除の内容 住民税の控除 ・所得税の還付
・住民税の控除

ワンストップ特例を利用すると、住民税だけで、「ふるさと納税額-2,000円」分、納税額が減る形になります。

 

ふるさと納税の魅力

ふるさと納税はもともと、「生まれ故郷やお世話になった地域、これから応援したい地域の力になれる」という理念で始まっています。単純に恩返しのつもりで始めてみるのも良いでしょう。

それ以外にもふるさと納税を利用して寄付することでさまざまな魅力・メリットを得られます。

 

寄附することで返礼品を受け取れる

ふるさと納税の大きなメリットは、寄付をすることで返礼品を受け取れることです。

ふるさと納税に取り組む自治体では寄付のお礼に寄付金額の3割にあたる返済品を用意しているのが一般的です。例えば50,000円を寄付した場合、最大で15,000円分の返礼品を受け取ることができます。

受け取れる返礼品は自治体ごとにラインナップが異なり、どこを選んでもOKです。食料品や日用品だけでなく、旅行券・工芸品など、その地域ならではの品物の中から好みの返礼品を選べます。

返礼品を通じて地域の特産や特色を知ることによって、寄付をした地域にますます親近感がわき、さらに応援したいと感じることにもつながります。

2023年10月からは寄付金額が上がったり返礼品の内容が変わったりすることが予想されますが、それでも魅力的な制度であることに変わりないでしょう。

 

寄付金額に応じて税金が控除される

ふるさと納税を利用することで、寄付金額に応じて税金が控除される点も大きなメリットです。

寄付金額から2,000円を超えた分について所得税の還付および住民税(ふるさと納税ワンストップ特例を利用した場合は住民税のみ)が控除されます。つまり、実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取りつつ税金まで控除されることになります。

この制度のポイントは「税金を前払いしている」ことにあります。あくまで寄付という形で税金を先に納めて翌年に戻ってくる、プラスでお礼として返礼品が受け取れる制度として理解しておくと良いでしょう。

控除の上限を超えた分は全額が自己負担になってしまう点には注意が必要ですが、上手に使うことで税金を前払いしながら特産品が手に入ります。

 

寄附金が応援になり、使い道を自分で指定できる

ふるさと納税をする先の自治体は、生まれ育った地域や家族にゆかりがある地域、思い入れがある土地など、全国1,500以上の自治体から選択できます。

ふるさと納税をすることで寄付先の自治体を応援することになり、寄付先の自治体も寄附金によって税収が増えるでしょう。増えた税収を利用して地域課題の解決や活性化に活用できるようになります。

加えて、ふるさと納税では、寄付したお金の使い道を指定できることも魅力です。通常、住民税などを納めても自分が納めた税金が「どのように使われているか」を知ることはできません。ふるさと納税なら寄付する自治体だけではなく、寄付金の使い道を自由に選択することも可能です。

子育て、まちづくり、災害復興支援など、自分が興味関心のある分野に利用目的を指定できることは、寄付先の自治体を選ぶうえで大きな判断材料になるでしょう。

 

まとめ

ふるさと納税の制度は202310月から「経費ルールの改正」「地場産の基準の変更・改正」というルール変更がありました。ラインナップの縮小や寄付金額の上昇、返礼品の容量が少なくなるといったデメリットにつながる可能性があるでしょう。

ただ、税金を前払いして自分が応援したい自治体に寄付できる、寄付に応じて返礼品を受け取れるなど、制度の魅力はこれからも健在です。

新制度のルールを理解したうえで、ふるさと納税を活用して魅力的な返礼品を手に入れましょう。

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