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共働き夫婦の住宅ローンはどう組む?収入合算やペアローンの注意点とは

住宅ローン 共働き 住宅ローン

住宅ローンは夫婦の片方のみで契約するのが一般的ですが、共働き夫婦の増加にともない、2人で協力して住宅ローンを組む「ペアローン」や「収入合算契約」を選択する家庭も多くなりました。

ペアローンや収入合算契約では、単独での契約に比べて大きな金額を借入られるのが魅力です。

しかし「夫婦に合う住宅ローンがわからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか?そこで本記事では、共働き夫婦が選択できる住宅ローンの組み方をご紹介します。住宅ローンごとの特徴・メリットとデメリットもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者
監修者佐藤 拓也

全国に約800世帯、約1100名のクライアントを抱えるファイナンシャルプランナー。

家計相談や生命保険の見直し、資産運用の相談、相続・税務対策など幅広く活動し、年間200世帯以上のお客様と個別相談を行いながら、子育てにも尽力している二児のパパ。

【保有資格】
・MDRT入賞9回 ・TLC(生命保険協会認定FP) ・CFP ・IFA(証券外務員1種) ・ファイナンシャルプランニング技能士1級

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共働き夫婦の住宅ローンの組み方

共働き夫婦の住宅ローンの組み方には、1人で借りる単独での契約のほか、夫婦2人で住宅ローンを契約&返済する「ペアローン」「収入合算契約(連帯債務型)(連帯保証型)」の全部で4パターンが挙げられます。

 

共働き夫婦の住宅ローン

  • ・単独で契約する
  • ・ペアローン
  • ・収入合算契約(連帯債務型)
  • ・収入合算契約(連帯保証型)

各パターンの基本情報は、以下のとおりです。次の章では、それぞれの特徴を詳しく解説します。 

単独契約 ペアローン 収入合算契約(連帯債務型) 収入合算契約(連帯保証型)
住宅ローンの契約数 1人分 2人分 1人分 1人分
住宅の名義 夫婦いずれか 夫・妻 夫・妻 夫婦いずれか
債務者 名義人 夫・妻 夫・妻 名義人
事務手数料 1人分 2人分 1人分 1人分
住宅ローン控除対象 1人分 2人分 2人分 1人分
団体信用生命保険の加入 1人分 2人分 1人分 1人分

 

単独契約の特徴

単独契約とは、名前のとおり夫婦のどちらか一方のみで住宅ローンを組む方法です。住宅ローンの契約数は1本となり、返済も1人で行います。住宅ローンの借入金額は1人分の収入をもとに決定されるため、そこまで大きくはなりませんが、シンプルな組み方でわかりやすく管理がしやすいのが魅力です。

 

単独契約のメリットとデメリット

単独契約のメリットは、以下の2点です。 

単独契約のメリット

  • ・事務手数料などの費用を抑えられる
  • ・ライフイベントの変化による影響を受けにくい

 単独契約は2本の住宅ローンを契約するペアローンとは異なり、契約数は1本になります。そのため、事務手数料などの費用を最低限で済ませられるのが利点です。借入金額は、一方の収入で返済できる範囲に設定されます。もしライフイベントによって仕事を退職する・転職するといった収入の変化が起きても、返済がストップするなどの心配は少ないでしょう。

 

一方で、単独契約にはデメリットもあります。

単独契約のデメリット

  • ・借入金額が限られる
  • ・住宅ローン控除は主債務者しか適用されない

単独契約では1人分の収入だけで審査を受けるため、夫婦2人の収入で契約するペアローンや収入合算契約に比べて、借入金額が少なくなります。住宅を購入時に活用できる減税制度の住宅ローン控除も主債務者にしか適用されません。共働きでも1人分しか節税できないということを覚えておきましょう。

 

単独契約が向いている人

単独契約は、以下の2点に当てはまる人に向いています。 

  • ・1人分の収入だけで、必要な金額を借りられる
  • ・ライフイベントによって働き方が変わる可能性がある

 1本の住宅ローンで住宅の購入費をまかなえる場合は、単独契約が向いています。また、これから出産・育児などのライフイベントを控えている方にもおすすめです。

ペアローンなど夫婦2人でローンの返済をする場合、完済するまでに仕事をやめるなどで片方の収入が減ってしまうと返済が滞る可能性があります。単独契約であれば、夫婦の一方が仕事をしていれば返済を続けられる可能性が高いため、今後のライフイベントにも対応しやすいといえます。

  

ペアローンの特徴

ペアローンとは、夫婦それぞれが契約者として住宅ローンを組む方法です。合計2本の契約を結ぶ必要があり、相手の契約に対してお互いが連帯保証人になります。購入した住宅は共同名義となり、出資した金額が持ち分です。例えば、夫婦で2,500万円ずつのペアローンを組んだ場合は以下のとおりになります。

<(例)2,500万円のペアローンを組んだ場合>

契約者
連帯保証人 妻の契約に対する 夫の契約に対する
借入金額 2,500万円 2,500万円
事務手数料 必要

必要

住宅ローン控除 受けられる 受けられる
団体信用生命保険 加入できる 加入できる
住宅の所有権 あり あり

 

ペアローンのメリットとデメリット

ペアローンのメリットには、以下の3点です。

ペアローンのメリット

  • ・大きな金額を借りられる
  • ・住宅ローン控除額が大きくなる
  • ・夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる

 ペアローンのメリットとしてまず挙げられるのが、借入金額を増やせることです。住宅ローンの契約数が2本になるため、単独契約に比べて大きな金額を借りられます。税金の軽減になる住宅ローン控除も夫婦それぞれに適用され、支出を減らせるのも利点です。また契約者に万が一のことが起こった際に残った住宅ローンが全額弁済される「団体信用生命保険」には、夫婦の両方が加入できます。

 

 ペアローンにはメリットが多い一方で、デメリットもあります。 

ペアローンのデメリット

  • ・万が一のことがあっても住宅ローンの返済義務は残る
  • ・契約にかかる費用が2倍になる

団体信用生命保険に夫婦の両方が加入できるのはメリットですが、住宅ローンが完済されるのは万が一のことが起きた人のみのため、残された人の住宅ローンはそのまま継続されます。例えば、5,000万円の住宅の購入費を夫婦2人で折半してペアローンを契約した場合、団体信用生命保険が適用されるのは半分の2,500万円のみです。残りの2,500万円は返済が続くため、注意しましょう。 他方の残債分を民間の保険に加入することで対策することが一般的です。

 

ペアローンが向いている人

ペアローンは、以下の3点に当てはまる人に向いています。

  • ・夫婦ともに収入が安定した職業についている
  • ・出産・育児などのライフイベントがあっても仕事に復帰できる
  • ・夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる健康状態である

ペアローンでは住宅ローンを2本契約することになるため、夫婦ともに安定した収入を継続的に得られている必要があります。また、仕事を退職した場合でもローンの返済は続きます。出産や育児などのライフイベントが起きた際に職場には復帰できるのか、仕事を続けられるのかを、契約をする前に夫婦で必ず話し合っておきましょう。

 

収入合算契約(連帯債務型)の特徴

収入合算契約とは、夫婦の収入を合わせた金額で住宅ローンの審査を受け、契約することです。ペアローンのように夫婦それぞれが住宅ローンを契約するわけではなく、契約数は1本になります。収入合算契約のなかでも「連帯債務型」とは、1本の住宅ローンを夫婦2人で返済する方法です。夫婦の一方を主債務者、もう一方を従たる債務者と区分し住宅ローンを契約するため、夫婦それぞれに同等の返済義務が発生します。例えば、夫を主契約者として5,000万円の住宅ローンを契約した場合は、以下のとおりになります。

債務者 主債務者 従たる債務者
借入金額 5,000万円 5,000万円
事務手数料 必要 5,000万円
住宅ローン控除 受けられる 受けられる
団体信用生命保険 加入できる 原則、加入できない
住宅の所有権 あり あり

ただし夫婦で同等の返済義務を負うといっても、1人につき5,000万円を返済しなければならないというわけではありません。夫婦で合計5,000万円を返済すれば、ローンは完済となります。

 

収入合算契約(連帯債務型)のメリットとデメリット

収入合算契約(連帯債務型)のメリットには、以下の3点が挙げられます。

収入合算契約(連帯債務型)のメリット

  • ・大きな金額を借りられる
  • ・夫婦ともに住宅ローン控除を活用できる
  • ・事務手数料などの費用を抑えられる 

収入合算契約では夫婦の合計収入で住宅ローンの審査を受けられるため、単独での契約よりも大きな金額を借入られます。夫婦ともに同等の返済義務が発生することから、住宅ローン控除をそれぞれの所得に適用できるのも利点です。

連帯債務型の場合、主債務者、連帯債務者の双方で住宅ローン控除が受けられますが、控除の対象となる金額は、住宅の所有権を登記した際の持分割合と、住宅ローンの返済負担割合で決まってきます。

ただし、持分割合が住宅ローンを含めた住宅取得のために出資した金額とは異なる割合になっている場合は、住宅ローン控除の対象となる金額が変わります。住宅ローン控除の対象となるのは、「自身の持ち分を取得するための債務(ローン)」部分だけだからです。 

 

連帯債務型にはメリットが多い一方で、以下のようなデメリットもあります。

収入合算契約(連帯債務型)のデメリット

  • ・団体信用生命保険は1人しか加入できない
  • ・離婚した場合でも返済義務は継続される 

取り扱う金融機関にもよりますが、一般的に団体信用生命保険は「主債務者のみ加入対象」としているところが多い傾向にあります。そのため、団体信用生命保険に加入していない従たる債務者に万が一のことが起きた場合でも、住宅ローンの返済はそのまま残ります。万が一に備えて、従たる債務者は民間の生命保険に加入するなど対策が必要です。

また、連帯債務型では離婚した場合も住宅ローンの返済は続き、住宅の所有権も共同になります。離婚後にローンの返済や所有権についてトラブルに発展するケースもあるため、夫婦で事前にしっかりと取り決めをしておきましょう。

 

収入合算契約(連帯債務型)が向いている人

連帯債務型の住宅ローンが向いている人は、以下のとおりです。

  • ・夫婦ともに収入が安定している
  • ・収入の減少に対して、貯金などの備えがある
  • ・出産・育児などのライフイベントがあっても仕事に復帰できる
  • ・住宅ローン控除で節税したい

収入合算契約のなかでも連帯債務型では、夫婦で住宅ローンを継続的に返済する必要があるため、安定した収入を得られていることが重要になります。出産・育児などのライフイベントのほか、病気やケガで働けなくなった場合に備えて、返済を継続できる準備もしておくとより安心です。住宅ローン控除を賢く活用し、税金を少しでも抑えたいという人にも適しています。

 

収入合算契約(連帯保証型)の特徴

収入合算契約のなかでも「連帯保証型」は、返済をする方を主債務者、もう一方が連帯保証人となるのが特徴です。1つの住宅ローン契約に対して、夫婦ともに同等の返済義務を負う連帯債務型とは異なり、連帯保証人には主債務者が返済をできなくなった場合にのみ返済義務が生じます。

例えば、夫を主債務者として5,000万円の住宅ローンを契約した場合は、以下のようになります。 

債務者 主債務者 連帯保証人
借入金額 5,000万円 0円
事務手数料 必要 扶養
住宅ローン控除 受けられる 受けられない
団体信用生命保険 加入できる 加入できない
住宅の所有権 あり なし

 

収入合算契約(連帯保証型)のメリットとデメリット

収入合算契約の連帯保証型のメリットは、以下の2点です。

収入合算契約(連帯保証型)のメリット

  • ・借入金額を増やせる
  • ・事務手数料などの費用を抑えられる

連帯保証型では連帯債務型同様に、夫婦2人の収入を合算して住宅ローンを契約するため、大きな金額を借り入れられます。また夫婦それぞれで1つずつ契約をするペアローンとは異なり、契約数は1本で済みます。事務手数料など余分な費用を抑えられるのもメリットです。

 

一方で、以下のようなデメリットもあります。

収入合算契約(連帯保証型)のデメリット

  • ・住宅ローン控除は主債務者しか受けられない
  • ・連帯保証人は団体信用生命保険に加入できない

同じ収入合算契約でも夫婦で返済を行う連帯債務型に対し、連帯保証型では主債務者のみで返済を行うため、連帯保証人には住宅ローン控除が適用されません。共働きでも夫婦の片方でしか、節税できないということを覚えておきましょう。

団体信用生命保険についても加入対象外となり、連帯保証人に万が一のことが起きても何も保証はなく、主債務者の返済義務は継続します。

 

収入合算契約(連帯保証型)が向いている人

収入合算契約の連帯保証型は、借入金額を増やしたい人におすすめです。基本的に返済をするのは主債務者になるため、連帯保証人に負担をかけたくない場合にも活用できるでしょう。

連帯保証型は夫婦ともに住宅ローン控除を適用できる「連帯債務型」に比べて、節税効果などのメリットは少ないといえます。連帯保証型での契約を検討する場合は、夫婦でよく相談したうえで決めるようにしましょう。

 

共働き夫婦が住宅ローンを考える際に確認すべきこと

共働き夫婦が住宅ローンを検討する際には、今後の働き方・ライフイベントについて必ず確認しましょう。1人分の住宅ローンで住宅の購入費を支払える場合はよいですが、ペアローン・収入合算契約では2人で協力して住宅ローンの返済するため、夫婦ともに完済まで安定した収入を得られる状況になければなりません。

転職を考えている、出産・育児によって仕事を退職するなど収入が減る可能性はないか、住宅ローンを契約する前に将来のライフプランについて夫婦で相談してください。

 

共働き夫婦が住宅ローンを組む際の注意点

共働き夫婦が住宅ローンの組み方を決める際には、どんなことに気をつけるとよいのでしょうか。

ここでは、共働き夫婦が特に注意すべき4つのポイントをご紹介します。住宅ローンを契約する前に知っておいてほしいことばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

 

返済額が大きくなりやすい

ペアローン・収入合算契約は、夫婦2人の収入で住宅ローンを契約するため、どちらか一方で借り入れるよりも借入金額を大きくすることができます。

裏を返せば、ペアローン・収入合算契約を選択する夫婦の多くが借入金額が当初の予定より大きくなりがちです。住宅ローン契約時は収入が安定していたとしても、完済までの間に仕事をやめるなどして収入が減る可能性はないとはいえません。

2人で返済していた住宅ローンを1人で支払うのは、家計に大きな負担となります。今後のライフプランや貯蓄などを考え、計画的に返済できるような住宅ローンを組みましょう。

 

借り換えが難しい

ペアローンや収入合算契約で住宅ローンを組んだ場合、借入後に仕事を退職するなどして収入が減ると、他の金融機関での借り換えが難しくなる可能性があります。

また健康状態の悪化により新たな団体信用生命保険に加入できず、思いどおりの契約内容で借り換えができなくなることも考えられます。

 

贈与とみなされる場合がある

夫婦2人で住宅ローンを組む際には、ローンの負担額と住宅の持ち分割合に注意しましょう。

住宅を購入すると所有権の登記を行いますが、登記した住宅の持ち分割合と夫婦それぞれで契約した住宅ローンの借入金額に差が生じると、負担の多い方から少ない方へ贈与が行われたとみなされ、贈与税の支払い対象になる恐れがあります。

住宅の持ち分を夫婦で5050とした場合は、必ず住宅の購入費も半々になるよう住宅ローンの金額を決めましょう。

 

離婚するとトラブルの原因になる可能性がある

ペアローン・収入合算契約では、離婚をしたとしてもそれぞれの返済義務は残ります。住宅ローンの名義変更は簡単にできるものではないため、離婚によって住宅に住まなくなったとしても返済し続けなければなりません。

住宅を売却する際にも、必ず夫婦両方の同意が必要です。離婚後ではスムーズに話し合いができない可能性があるため、万が一のケースも想定したうえで住宅ローンの組み方を決定しましょう。

 

まとめ

共働き夫婦が住宅ローンを契約する際には、自分たちにとってどのような組み方が適しているのかしっかり考えることが重要です。住宅の購入費がそこまで高額でない場合は、単独で住宅ローンの契約をするのが望ましいといえます。

1人分の住宅ローンでは十分な金額を確保できない場合は、ペアローンや収入合算契約を検討しましょう。夫婦で協力して返済するペアローンや収入合算契約では大きな金額を借入られるというメリットがある一方で、ライフイベントなどにより収入が減ると家計への負担が増えてしまいます。

出産や育児で仕事を退職する・将来的に転職を考えているなど、今後のライフプランを夫婦で話し合い、無理なく返済できる範囲で住宅ローンを組むようにしてください。 

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