初心者必見!株式市場と経済指標の基礎知識
資産運用を始めるときに、まず知っておくべきことは「株式市場」と「経済指標」です。これらを理解することで、経済ニュースがもっとわかりやすくなり、資産運用の成功に近づけます。今回は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要な株価指数と、代表的な経済指標についてやさしく解説します。
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日本の株式市場
まずは日本の株式市場からスタートしましょう。日本の株式市場は、私たちの日常生活にも密接に関わっています。たとえば、日経平均株価が上がると、ニュースで取り上げられたり、給料やボーナスに影響することもあります。TOPIXも同様に、日本全体の企業の元気さを示す指標です。これらの指数がどう動くかを知ることで、自分の将来やお金の管理に役立てることができます。毎日のニュースを少し気にかけるだけでも、経済の動きが見えてきます。また、日本の株式市場は政治的なイベント、特に総裁選の影響を受けやすいです。総裁選における候補者の経済政策や市場の期待感が株価に反映されることが多いため、総裁選の動向は注視すると良いでしょう。
日経平均株価
日経平均株価は、日本経済新聞社が東京証券取引所プライムに上場する約2,000銘柄の中から、市場流動性の高い225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数です。言い換えると、“日本代表企業”の株価を指数化したものといえます。なお、単純に全ての株価の合計を225で割って求めるわけではなく、特殊な計算方法を使用して算出されています。
過去20年間の日経平均株価の動きを見てみましょう。2007年のサブプライムローン問題、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2013年の異次元緩和政策、2016年のマイナス金利導入、そして2020年のコロナウイルスなど、各出来事の前後で株価は大きく変動しています。このように日経平均株価は、国内の出来事や政策だけでなく、世界で起こった出来事の影響も受けていることがわかります。これらの値動きの要因として、経済指標の変化が挙げられます。
TOPIX(東証株価指数)
次に、日経平均株価と並ぶ代表的な株価指数であるTOPIXについて見ていきましょう。TOPIXは東証株価指数とも呼ばれ、東京証券取引所に上場している銘柄を広く網羅し、一定の計算方法によって指数化されます。TOPIXは基準日(1968年1月4日)の時価総額を100ポイントとし、現在の時価総額が何ポイントにあたるかを表しています。
TOPIXの値動きを見ることで、日本の株全体の動きを把握でき、1968年以降の日本の経済状況がどのように動いているのかを知ることができます。日経平均株価と比較すると、TOPIXは東証に上場している約2,000銘柄で構成されている点が大きな違いです。チャートを比較しても大きな差はありませんが、カバーする企業数が多いため、より広範な経済状況を反映しています。
日経平均株価とTOPIXは、毎日チェックする習慣をつけることで、日本の経済動向をより深く理解する助けになります。家計のやりくりや資産形成、さらには将来の経済的な見通しを立てる際の重要な情報源です。資産運用初心者の方は、まずはこれらのチェックを毎日行ってみましょう。
アメリカの株式市場
次に、アメリカの株式市場を見てみましょう。アメリカの株式市場は、私たちの生活にも大きな影響を与えます。例えば、ダウ平均株価やS&P500が上がると、アメリカ企業の業績が好調だということがわかります。これが日本の企業や経済にも波及するため、ニュースで取り上げられることが多いのです。ナスダックは特にハイテク企業が多く含まれており、スマホやインターネットサービスを提供する会社が名を連ねています。普段利用している製品やサービスの動向を知るためにも、これらの指数に注目すると良いでしょう。さらに、アメリカの株式市場は政治的なイベント、特に大統領選の影響を大きく受けます。大統領選の候補者の政策や選挙結果が市場の期待感や不安感に反映されることが多いため、株価に直接的な影響を与えることがあります。
ダウ平均株価指数
ダウ工業株30種平均指数とも呼ばれ、アメリカの主要業種の代表的な30の優良銘柄で構成される株価の単純平均指数です。1928年10月1日以来、株式市場全体の動きを表わす指標として広く認識されています。
たとえば、過去20年のチャートを見てみると、日本と同様に、各出来事の前後で株価が大きく変動していることが分かります。近年では、2020年のコロナショックが記憶に新しいですが、直近で変動幅が大きかったのが「CPIショック」です。CPIとは消費者物価指数のことで、後半の経済指標のパートで詳しく説明いたします。
さて、ダウ工業株を構成する30社ですが、アップルやマイクロソフト、セールスフォース、ディズニーといった超大企業が名を連ねています。これらの企業が市場に与える影響は非常に大きく、ダウ平均を通じてその動向を把握することが重要です。
また、大統領選の期間中やその直後は、ダウ平均株価指数の動向を注意深く観察してみると良いでしょう。新しい大統領の政策方針が市場にどのように影響を与えるかを見極めることで、より適切な投資判断を行うことができます。
S&P500(S&P500種指数)
次に紹介するのは、S&P500種指数(エスアンドピーごひゃくしゅしすう)です。これは米国大型株の指標として広く認識されている株価指数で、代表的な約500銘柄で構成されています。市場時価総額の約80%を網羅しているため、米国株式市場全体の現在の動向を把握するのに最適な指数です。
S&P500は、投資信託やETFのベンチマーク(指標や基準)として非常に多く使用されています。このため、投資信託やETFで投資をされている方にとっては、S&P500という名前をよく耳にするのではないでしょうか。
ナスダック総合指数
ナスダック総合指数は、米国店頭株で構成されるナスダック・ナショナル・マーケット 指数および小型株指数の採用全銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。
この指数には、マイクロソフトやアップルなどのハイテク関連やインターネット関連の新興企業が多く含まれています。そのため、ハイテク関連やインターネット関連の動向を把握するのに最適です。ナスダック総合指数を通じて、新興企業の成長や市場の動向をチェックすることができます。特に、大統領選の影響はナスダック総合指数にも大きな変動をもたらします。ハイテク企業に対する政策の変化や市場の期待感が指数に反映されるため、大統領選の際にはその動向をチェックしてみましょう。
ポイントは、株式市場の「全体の動向」「特定(新興企業)の動向」のいずれかを把握したいかによって注目すべき株価指数が異なるということです。
ヨーロッパとアジアの株式市場
欧州やアジアの株式市場も、世界経済において非常に重要な役割を果たしています。たとえば、ユーロ・ストックス50やドイツDAX指数の動向をチェックすることで、ヨーロッパの企業の健康状態を把握できます。
アジアでは、香港ハンセン指数や上海/シンセンCSTI300指数が特に注目されています。これらの指数は、アジアの企業や経済の動きを知るための重要な指標となります。旅行や仕事で関わることが多い地域のため、これらの株価指数を少し意識しておくと、経済の動きがより身近に感じられるかもしれません。
ユーロ・ストックス50指数
ユーロ・ストックス50指数は、ユーロ圏のスーパーセクターの優良銘柄で構成される代表的な指数です。ユーロ圏の11カ国から50銘柄をカバーしており、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、エアバス、メルセデス・ベンツといった名だたる企業が含まれています。この指数を見ることで、ユーロ圏全体の経済状況を広く把握することができます。
ドイツDAX指数
ドイツDAX指数(ドイツダックスしすう)は、フランクフルト証券取引所で取引されるドイツの優良株40銘柄のトータルリターン指数です。ドイツ経済の中核を担う企業が多く名を連ねており、代表的な企業にはエスエーピー、プーマ、エアバス、メルセデス・ベンツなどがあります。ドイツ経済の動向を知りたい場合には、この指数が非常に参考になります。
FTSE100指数
FTSE100指数(エフティーエスイーひゃくしすう)は、ロンドン証券取引所上場の時価総額上位100銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。日本でもおなじみの企業としては、薬用石鹸ミューズで有名なレキットベンキーザー、そしてロールス・ロイス、バーバリーなどが含まれます。英国経済の主要な動向を把握するためには、この指数をチェックするのが良いでしょう。
これらの指数も、様々な投資信託のベンチマークとして設定されています。
香港ハンセン指数
香港ハンセン指数(ほんこんハンセンしすう)は、香港証券取引所で取引される主要銘柄で構成されています。代表的な企業には、テンセント、アリババ、そして日本でもスマートフォンで有名なシャオミが含まれています。アジアのハイテク企業の動向を把握するのに非常に役立つ指数です。
上海/シンセンCSI300指数
上海/シンセンCSTI300指数は、上海またはシンセン証券取引所に上場している300銘柄で構成されています。代表的な企業には中国自動車トップの上海汽車、中国4大保険会社の1つである平安保険、そして青島(チンタオ)ビールなどが含まれます。この指数を通じて、世界第2位の経済大国である中国本土の経済動向を広く見ることができます。
S&P/ASX200指数
S&P/ASX200指数(エス・アンド・ピー/エーエス・エックス200しすう)は、オーストラリア証券取引所上場の浮動株調整時価総額上位200銘柄からなる指数です。日本でもジェットスターが有名ですが、その親会社であるカンタス航空、大型ショッピングセンターを運営するウェストフィールド、オーストラリア最大の通信会社のテルストラなどが組み入れられています。オーストラリア経済を総合的に見るための重要な指標です。
知っておきたい経済指標
株価指数と同様に、経済指標も資産運用において非常に重要です。経済指標は国の経済状態を示す「健康診断」のようなもので、経済の現状や将来の見通しを把握するための重要なデータです。
たとえば、雇用指標は労働市場の状況を示し、失業率や新規雇用者数といったデータから、どれだけの人が仕事をしているか、または新しい仕事を見つけるのがどれだけ難しいかを知ることができます。他にも、「物価」「景気」にかかわる指標があり、これらの経済指標をチェックすることで、家計管理や投資判断に役立てることができます。ニュースで経済指標に関する情報を見かけた際に、その内容に少し注目してみると、経済の流れがより理解できるでしょう。
米国雇用統計
雇用に関する重要な指標の一つが「米国雇用統計」です。この統計は毎月第一金曜日に発表され、主に非農業部門雇用者数、失業率、平均賃金に注目が集まります。景気が良いと企業は事業拡大のために雇用者数を増やし、逆に景気が悪いと失業者が増加します。この統計は、企業がどの程度人を雇えているか、賃金を出せているか、さらに雇用する余力があるかを示しています。
米国雇用統計が良好であれば量的緩和の縮小や政策金利の引き上げが予測され、逆に悪化すれば緩和拡大や金利引き下げが予想されます。このため、月初の金曜日前後には雇用統計の結果が為替や株価に大きな影響を与えます。また、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、この雇用統計をもとに金融政策を決定します。経済ニュースでも頻繁に耳にするこの指標は、確実に押さえておきましょう。
消費者物価指数(CPI)
物価に関する重要な指標の一つが消費者物価指数(CPI)です。CPIは一般消費者世帯が購入する商品やサービスの価格動向を指数化したもので、「経済の体温計」とも呼ばれています。2022年の株価急落の要因として「CPIショック」があったことを覚えている方も多いでしょう。CPIはインフレの動向を分析するための最も一般的な指標であり、金融当局の政策を読む上で非常に注目度が高いです。
GDP(国内総生産)
景気に関する最も注目される指標の一つがGDP(国内総生産)です。GDPは一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額を示しており、その国の経済規模を測るための基本的な指標です。GDPには名目GDPと物価変動の影響を取り除いた実質GDPがあります。これらの数値を通じて、国の経済の健康状態を把握することができます。
各国の金融政策
各国の金融政策は、株価指数に大きな影響を与える重要な要素です。金融政策は、中央銀行が経済の安定と成長を目指して行う一連の措置を指します。これらの政策は、金利の設定や通貨の供給量の調整を通じて経済全体に影響を及ぼします。金融政策の動向を理解することで、経済全体の動きを予測しやすくなります。ここでは、日本、アメリカ、そしてヨーロッパの主要な金融政策決定会合について詳しく見ていきましょう。
日銀政策決定会合
日本の金融政策は、日本銀行が開催する日銀政策決定会合で討議・決定されます。この会合は年8回、それぞれ2日間にわたって開催され、金融市場調整方針や政策金利、経済・金融情勢に関する基本的な見解が議論されます。特に注目されるのは、会合後に発表される日本銀行総裁の発言です。この発言は市場に対して大きな影響を与える可能性があり、投資家にとって重要な情報源となります。
米連邦公開市場委員会(FOMC)
アメリカの金融政策は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で討議・決定されます。FOMCは年8回開催され、政策金利の設定やその他の金融政策が議論されます。この会合での決定は、世界中の投資家が注目する重要なイベントです。特に、結果と予想が大きく乖離した場合には、ドルを中心に為替レートが大きく変動する可能性があります。
ECB政策理事会
欧州の金融政策は、欧州中央銀行(ECB)が開催する政策理事会で討議・決定されます。ユーロ圏の金融政策や政策金利は毎月1回目の会合で決定され、2回目の会合では金融政策以外の事項が討議されます。ECBの政策理事会もまた、投資家にとって重要なイベントであり、特に会合後のECB総裁の発言に注目が集まります。議事要旨が公開されないため、総裁の発言は市場の動向を左右する重要な手がかりとなります。
投資家にとって経済指標の理解は非常に重要です。これらの指標は、経済の現状や将来の見通しを把握するための大切なデータであり、投資判断に大きな影響を与えます。雇用指標や消費者物価指数(CPI)、国内総生産(GDP)などの経済指標をチェックすることで、経済の流れをより深く理解し、自身の資産運用に役立てることができるでしょう。
まとめ
投資を成功させるためには、世界の株式市場と経済指標を正しく理解することが不可欠です。日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要な株価指数を把握することで、各地域の経済動向を知ることができます。また、雇用、物価、景気の経済指標を理解することで、経済全体の健康状態を把握し、賢明な投資判断をすることができます。
これらの知識を基に、日々のニュースを読み解き、より良い資産運用を行いましょう。
一方で、経済指標や株式市場の情報は膨大で専門的な知識が必要です。ご自身で全てを理解し、最適な判断をするのが難しい場合もあります。そんな時は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することをおすすめします。専門家の意見を取り入れることで、より安心して資産運用を進めることができるでしょう。
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