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金利が上がるとどうなる?家計への影響やオススメの資産運用をFPが徹底解説

資産運用

日銀(日本銀行)は、20243月にマイナス金利政策の解除を発表し、17年ぶりに利上げを実施しました。「金利のある世界」に徐々に変わりつつある中で気になるのが、私たちの生活にどのような影響があるのか、という点ではないでしょうか。

利上げが行われると、物価や為替、株価などさまざまなものが影響を受けます。住宅ローンの適用金利や生命保険の保険料などが変わると、家計にも少なからず影響が出るでしょう。

今回の記事では、そもそも利上げとは何か利上げによってどのような影響があるのか、といった点を詳しく解説していきます。

監修者
監修者佐藤 拓也

全国に約800世帯、約1100名のクライアントを抱えるファイナンシャルプランナー。

家計相談や生命保険の見直し、資産運用の相談、相続・税務対策など幅広く活動し、年間200世帯以上のお客様と個別相談を行いながら、子育てにも尽力している二児のパパ。

【保有資格】
・MDRT入賞9回 ・TLC(生命保険協会認定FP) ・CFP ・IFA(証券外務員1種) ・ファイナンシャルプランニング技能士1級

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利上げとは?金利の決まり方やこれまでの動向を確認

まずは、「利上げ」とはそもそもどのようなものなのか、これまでの日本の金利はどのように推移してきたのか、など「金利」に関する基本的な内容を確認していきましょう。

そもそも金利とは?

金利は、お金の貸し借りをする際の手数料のようなもののことです。例えば、銀行からお金を借りる場合、借りる金額や期間に応じて利息を支払います。この利息の支払いに用いられるのが「金利」です。

金利は、長期金利短期金利2種類に分けられます。長期金利は、1年以上の金融資産の金利のことで、代表的な例は10年物国債です。短期金利は、1年未満の金融資産の金利のことで、代表的な例は政策金利です。

金利は常に一定ではなく、需要と供給のバランスによって変動します。日本の中央銀行である日銀(日本銀行)は、世の中に出回るお金の量や政策金利を調整しながら、日本の景気をコントロールしています。

利上げとは中央銀行による政策金利の引き上げのこと

各国の中央銀行は政策金利を上げ下げすることで金融市場を安定させています。「利上げ」とはその名の通り、中央銀行による金利の引き上げを指します。景気が良い時には政策金利を引き上げ(金融引き締め)、景気が悪くなると政策金利を引き下げることで、国の景気をコントロールする(金融緩和)のが一般的です。

特に利上げは、企業の借入や個人の消費を控えさせ、インフレを抑制するために行われます。

景気の拡大期や回復期に利上げが実施されることが多いですが、実体経済に乖離したペースで利上げを行ってしまうと、一気に景気の低迷につながりかねません。

しかし、なかなか利上げを実施できないと市場の過熱感は収まらず、インフレによって経済が不安定になるリスクもあります。

このように、利上げは国の景気に大きな影響を与えるため、各国の中央銀行は自国の経済状況や世界景気などをしっかりと分析した上で、利上げのタイミングや利上げの幅を決定しています。

これまでの日本の政策金利動向

日銀(日本銀行)は、2013年に大規模な金融緩和政策を導入し、マイナス金利政策を進めてきました。

2%のインフレターゲットを掲げた上で、金融緩和によって長く続いたデフレからの脱却を目指してきたのです。

その後10年にわたって日本ではマイナス金利政策が続いていましたが、徐々に日本での物価の上昇が定着し始め、2022年頃からは食品や日用品、サービスなど価格の上昇が顕著となってきました。

そして、ついに20243月に日銀はマイナス金利政策を解除し、短期金利の誘導目標を00.1%程度として、2007年以来17年ぶりの利上げを決定したのです。

2024年7月には金利のさらなる引き上げも発表し、私たちの身の回りでも預金金利の引き上げなど、これまでにはなかった動きが起こり始めています。

今後の日本の金利はどうなる?

それでは、今後の日本の金利はどのようになっていくのでしょうか。改めて直近の日銀(日本銀行)の動きなどをチェックしつつ、考えていきましょう。

20247月の日銀(日本銀行の)金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げが決定されました。植田総裁は、円安による物価見通しの上振れリスクに配慮したと説明しつつ、追加の利上げを進めていく姿勢を示しました。

直近の9月の会合では政策金利の据え置きが決定され、今後の金融政策についても議論されました。議論の中では、海外経済や金融市場などのリスクについての指摘が相次ぎ、この先の利上げについては慎重に検討すべきだという意見が多くあったとされています。

こうしたことから、今後もハイペースで金利が上がり続けることは考えづらいですが、物価や為替の動向によっては追加利上げもあると見込まれます。

2024年年内にかけては、衆議院の総選挙やアメリカの大統領選挙の結果が、今後の近地動向においても重要なポイントとなりそうです。

出典:NHK「日銀 追加利上げ決定 政策金利0.25%程度に【総裁会見詳細も】」

出典:NHK「日銀 9月会合の主な意見公表 “利上げ 慎重に検討すべき”」

金利が上がると私たちの生活はどう変わる?家計に与える影響をチェック

仮に今後、日本の金利が上がり続けた場合、私たちの身の回りの生活はどのように変わるのでしょうか。

「株価」「為替」「物価」「預金」「住宅ローン」「生命保険の保険料」といった観点から、どのような影響があるのか確認していきましょう。

株価に与える影響

利上げによって金利が上がると、お金を借りる時の支払い利息が増えるため、企業はお金を新たに借り入れにくくなります。

借入による資金調達が難しくなると、新商品の開発や設備投資にお金が回りにくくなり、企業業績の悪化が予想されます。

株価は企業の先行きの企業業績などを予測して動くため、利上げによって企業業績の悪化が見込まれる場合、株価は下落するのが一般的です。そのため、金利と株価はシーソーのような関係にあるとも言われます。

ただし、本来利上げはあくまでも景気の安定化を図るために実施されるものです。適切なペース・利上げ幅で利上げが行われれば、株価への影響はさほど大きくない場合もあるでしょう。

為替に与える影響

為替は各国の政治情勢や経済動向などさまざまな要因で変動しますが、各国の金利も為替に大きな影響を与えます。

一般的に、投資家はより高い金利を得られる通貨や国債を購入しようとします。そのため、2つの国の金利を比べたときに、金利の高い国の通貨は買われやすく、金利の低い国の通貨は売られやすくなります。

例えば、米ドル/円の動きについては、米国の金利と日本の金利の動向が深く関係します。

日本は、これまでマイナス金利政策を続けてきたため、諸外国と比べて金利が非常に低く、円安が長年継続していました。日本の金利がなかなか上がらない中で、米国をはじめとする各国は利上げに踏み切ってきたため、金利差が拡大することによってどんどん「円売り」が進んでいったのです。

しかし、利上げを行うことで他の国との金利差が縮まり、円高方向に進むことが予想されます。実際に、日銀が追加利上げを決定した7月〜8月にかけては、「ドル売り・円買い」の流れによって一気に円高が進みました。

物価に与える影響

金利が上がると、支払利息の増加によって企業や個人はお金を借りづらくなり、新しくローンを組んで住宅や自動車などを購入することを控えるようになります。

供給に対して需要が減ってしまうと、モノやサービスはなかなか売れず、物価は下がりやすくなります。そのため、一般的に金利が上がると物価は下がりやすいという関係が成り立つのです。

一方で、利上げによって企業の資金調達コストが上がることで、商品やサービスの価格にコスト分が上乗せされ、結果として物価が上昇する可能性もあります。

預金に与える影響

金利が上がると、私たちが利用する銀行預金の適用金利も上がりやすくなります。

実際、大手都市銀行や一部の銀行では、2024年8月〜9月にかけて、普通預金・定期預金の金利がすでに大きく引き上げられています。

以下は、大手金融機関の預金金利がどのように変わったかをまとめた表です。

金融機関名 預金・貯金種類 変更前 変更後 引き上げタイミング
三菱UFJ銀行 普通預金 0.020 0.100 202492
三井住友銀行 普通預金 0.020 0.100 202486
みずほ銀行 普通預金 0.020 0.100 202492
ゆうちょ銀行 通常貯金 0.020 0.100 202492

仮に、100万円を0.02%の普通預金に預ける場合、1年間の受取利息は税引き前で200円です。しかし、0.10%の普通預金に預けると、得られる利息は1,000円になります。

預金を預ける私たちにとっては、預金金利が上昇するのは大きなメリットですね。

住宅ローンに与える影響

「利上げ」と聞くと、住宅ローンの返済が増えるのではないかと不安に感じる方が多いのではないでしょうか。

住宅ローンの変動金利は、金融機関が企業にお金を貸し出す際の基準金利である「短期プライムレート」を参考に決定されます。

政策金利はこの短期プライムレートに影響を及ぼすため、利上げが行われることで、変動型住宅ローンを利用している人の適用金利が上がることになります。

住宅ローンの金利は半年ごとに適用金利が見直されるものが多く、4月と10月時点で基準金利が上がっていれば、その3ヶ月後の住宅ローンの返済から新しい金利が適用されます。

ただし、来年の1月からすぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。多くの銀行では「5年ルール」や「125%ルール」を採用しています。5年ルールは金利が上がった場合も5年間は毎月の返済額を据え置くというものです。また、125%ルールは5年ルールの期間が終わった時点で返済額が増えたとしても、これまでの返済額の1.25倍に抑えられるというルールです。

これらのルールによって返済額の増加負担は軽減されるものの、元本の返済が進まなくなることによって、金利負担の総額は増えてしまう点には注意しましょう。

なお、202410月時点の、大手銀行の変動型住宅ローン金利は下記の通りです。

銀行 9 10
三井住友銀行 0.475 0.625
三井住友信託銀行 0.33 0.48
りそな銀行 0.34 0.49
三菱UFJ銀行 0.345 据え置き
みずほ銀行 0.375 据え置き

出典:NHK首都圏ナビ「変動型の住宅ローン金利 引き上げか据え置きか」

生命保険の保険料に与える影響

金利が上がると、生命保険の保険料は安くなる可能性があります。

生命保険会社は、契約者から集めた保険料を「責任準備金」として積み立てていき、将来の支払いに備えます。この責任準備金は、生命保険会社が定める「予定利率」によって運用されますが、この予定利率は長期金利を元に発表される標準利率に影響を受けます。

生命保険の保険料は、予定利率から見込まれる収益分を割り引いて計算されるため、長期金利が上がると予定利率も引き上げられ、結果的に保険料が安くなる可能性があるのです。

金利の上昇局面でおすすめの資産運用方法は?

ここまで解説した通り、金利が上昇している局面では、株価が下がりやすいという特徴があります。

それでは、金利が上昇している中で資産運用をしたいと考えている方には、どのような資産運用方法が適しているのでしょうか。以下の3つの資産運用方法について、詳しく紹介していきます。

  • ・定期預金
  • ・個人向け国債
  • ・高配当株・バリュー株

定期預金

「あまりリスクを取りたくない」「堅実に運用したい」という方には、定期預金がおすすめです。

元本の安全性が保たれるため、将来使う予定のあるお金の置き場としても利用しやすいでしょう。

ネット銀行や地方銀行、信用金庫などでは金利引き上げキャンペーンなどを実施していることも多く、うまく活用すれば高い金利も狙いやすいというメリットがあります。

ただし、金利上昇局面ではあまり長い期間の定期預金に預けることはおすすめしません。

一度定期預金に預けてしまうと、その後金利が上昇したとしても自分の預けてある定期預金の金利は変わらないため、低い金利のまま資金が固定されてしまうこととなります。

今後も金利上昇が見込まれる場合は、数ヶ月程度の短い定期預金から始めてみると良いでしょう。

個人向け国債

元本の安全性を守りつつ、定期預金よりも高い金利で運用したいという方は、個人向け国債を検討してみましょう。

個人向け国債は、個人向けに国が発行している債券のことで、変動10年・固定5年・固定3年の3種類があります。いずれも1万円から購入できるため、まとまった資金を預けるのが難しいという方にもおすすめです。

固定5年・固定3年は、満期まで金利が固定されるタイプの債券で、大きな仕組みは定期預金とほとんど変わりません。

変動10年は、半年ごとに金利を見直すタイプの債券で、金利が上がるにつれて適用金利も上がっていくのが特徴です。最低金利0.05%が保証されているため、金利が下がってしまった場合も一定の利息収入は見込めます。

ちなみに、202410月に募集されている個人向け国債の条件は下記のとおりです。

種類 利率(年率・税引前)
変動10 0.57
※初回利子の適用利率
固定5 0.46
固定3 0.34

高配当株・バリュー株

金利上昇局面で個別株投資をしたいという方は、高配当株やバリュー株を狙うのがおすすめです。

金利上昇局面では、将来への期待感で買われていたグロース株は、今後の業績悪化懸念によって売られやすく、株価が下落しやすいという特徴があります。

一方、高配当株に代表されるバリュー株は、現在の利益をすぐに株主に還元するため、金利の上昇による割引率の上昇の影響をそれほど受けません。また、これらの銘柄はすでに成熟した大きな企業であることが多く、これから成長していく若い企業に比べて業績が安定しやすいというメリットもあります。

とはいえ、株価は金利だけでなくさまざまな要素によって変動するため、金利上昇局面で株価が上がるグロース株もあれば、金利上昇局面で株価が下がるバリュー株もあります。

企業の業績や信用リスクが悪化すると株価にも直結するため、それぞれの企業の業績や財務状況、業界の動向などをしっかりと調べた上で、リスクを許容できる範囲での投資を心がけましょう。

必要に応じて専門家の意見の参考にしつつ、自分の資産であることを念頭に置いて、投資判断を行うのが大事です。

資産運用の種類・特徴を徹底解説!初心者におすすめの運用方法とは?

まとめ

利上げとは、中央銀行による政策金利の引き上げのことで、景気や物価の安定を図るために実施される政策です。

利上げによって世の中の金利が上昇すると、身の回りのモノやサービスの価格、住宅ローンの適用金利、生命保険の保険料などさまざまなものに影響が及びます。

今回の記事では、金利の引き上げが私たちの生活にどのように影響を与えるかを解説しました。

利上げの局面でおすすめしたい資産運用方法も紹介したので、これから資産運用を検討したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

自分に合った具体的な資産運用方法を知りたい、利上げに備えて家計の状況を見直したい、という方は、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談もおすすめです。

専門家に相談することで、自分の疑問や不安を解消できる可能性が高いため、気になることがある方は、ぜひFPに相談してみましょう。

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