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NISAは解約できる?「口座解約」と「解約(廃止)」の違いから注意点までFPが解説

資産運用

NISAは、20141月に開始した少額投資非課税制度の通称です。2024年からはこれまでのNISA制度が大きく改正され、さらに使いやすくなりました。

資産形成の手段として活用する人の多いNISAですが、何らかの理由で「NISAを解約したい」「NISAを解約するべきか迷っている」と考える人もいるかもしれません。

NISAの解約は問題なく可能ですが、解約の際には注意したいポイントもいくつかあります。

今回の記事では、NISAのパターン別の解約方法やNISAを解約するメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

NISAを解約するか迷っている方は、本記事を参考に今後の資産運用について検討してみてください。

監修者
監修者増田 諒

全国に約900世帯、約1,300名のクライアントを抱えるファイナンシャルプランナー。

年間100世帯を超える個別相談を行いながら、「ライフプランニング」「資産運用」「保険」「確定申告」「住宅ローン」「相続」等のテーマのセミナーで人気講師を務める。

【保有資格】
・MDRT入賞7回 ・TLC(生命保険協会認定FP) ・CFP ・IFA(証券外務員1種) ・ファイナンシャルプランニング技能士1級 ・宅地建物取引士 ・貸金業務取扱主任者

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そもそもNISAは解約できる?

「そもそもNISAは解約できるの?」と疑問に思う方がいるかもしれませんが、結論からいえば、NISAの解約は問題なく可能です。

NISA2024年に制度が改正されましたが、新しいNISAにおいても所定の手続きを行えばNISAを解約できます。

ただし、ここで注意したいのがNISAの何を解約するのか、ということです。

NISAで保有している商品を解約するのか、NISA口座そのものを解約するのか、NISA口座の積立設定を解約するのか、など一口に「解約」といっても何を指しているのかによって取るべき手続きが異なります。

まずは、自分がイメージしている「解約」がどのようなものかを整理するところから始めてみましょう。

NISAの「解約」には3種類ある

NISAの解約は、一般的に以下の3種類に分類されます。

・解約:NISA口座で保有している投資商品を売却して現金化すること

・口座解約(口座廃止):NISA口座そのものを廃止すること

・解除(積立停止):NISA口座での積立設定を停止すること

NISAの「解約」は、NISA口座で保有している金融商品を売却することを指すのが一般的です。金融商品を解約したとしてもNISA口座はそのまま残るため、NISA口座での投資を再開したい場合、特に手続きは必要ありません。

NISA口座そのものの「口座解約」の場合は、利用していたNISA口座を廃止する手続きが必要です。一度NISA口座を廃止すると、再びNISAでの取引を行うためには再開設の手続きを行わないといけません。

また、NISA口座での積立設定を停止する「解除」の意味で解約と呼ばれることもあります。積立設定を解除すると、「毎月○円を○日に積み立てる」といった設定をしていたものが解除され、投資信託の購入がストップします。あらためて積立設定をしなおせば、積立投資を再開することも可能です。

なお、2024年からの新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の併用もできるようになりました。成長投資枠とつみたて投資枠を併用している場合、片方の積立のみを解除することもできます。

NISAの解約方法

NISAの「解約」の違いがわかったところで、それぞれの具体的な手続きについて確認していきます。

手続きによって必要書類の有無や所要日数などが異なるため、しっかり整理しておきましょう。

NISAで保有している商品の解約(売却)

NISA口座で保有している商品の解約は、金融機関の店頭または電話、オンラインで行えます。金融機関や保有商品によって手続き方法が異なる場合があるため、事前にどの方法で手続きできるか確認しておきましょう。

店頭や電話で解約手続きを行う場合、どの銘柄をどれだけ売却するかを伝え、指示に従って手続きを進めます。

WEBサイトやアプリなどオンラインで取引する場合は、自分のマイページから売却したい銘柄を選び、売却数量や価格などを設定し、発注手続きを行います。

投資信託を解約する場合、解約の申込みをした時点の基準価額で売却されるとは限らないため注意しましょう。

保有商品をすべて売却する場合は「全解約」、一部のみを売却する場合は「部分解約」となります。

全解約または一部解約のどちらを行った場合でも、保有商品の解約をするだけであればNISA口座はそのまま残り、積立設定も変更されません。

NISA口座自体の解約(廃止)

NISA口座そのものを解約する場合は、NISA口座廃止の手続きを行います。

口座に金融商品が残っている場合は、口座解約前に売却して現金化するか課税口座への移管が必要です。

口座が空っぽになった状態で、NISA口座を保有している金融機関から「非課税口座廃止届出書」を取り寄せます。必要事項を記入して、金融機関に提出すれば口座解約の手続きが完了します。

手続きが完了すると、金融機関から「非課税口座廃止通知書」または「管理勘定廃止通知書」が送付されます。NISA口座を再度開設する場合、これらの書類が必要となるため、無くさないように保管しておきましょう。

なお、NISA口座を解約したとしても、金融機関自体の総合口座はそのまま残るため、課税口座での取引は引き続き可能です。すべての口座を廃止したいという場合は、別途証券口座や銀行口座の廃止手続きを行います。

NISAの解除(積立設定の停止)

NISA口座で行っている積立投資の設定の解除は、店頭または電話、オンラインで行います。詳細については、取引している金融機関に問い合わせてみましょう。

積立設定を解除しても、それまで積み立てた金融商品が売却されるわけではなく、NISA口座内で引き続き運用が継続されます。あくまでも「毎月○円を積み立てていく」という設定が解除されるだけで、運用がストップするわけではありません。

NISA口座もそのまま残るため、再度積立投資の設定を行えば、積立投資を再開できます。

NISAを解約するメリット・デメリット

NISAを解約する際は、解約のメリット・デメリットをよく理解することが重要です。

特に、NISAは長期運用に適した非課税制度であるため、短期での解約はデメリットの方が大きくなる場合があります。

解約した後に「解約しなければよかった」と後悔しないように、自分にとってNISAの解約が適しているかをよく考えましょう。

NISAを解約するメリット

NISAで保有している商品を売却すると、手元に売却した分の現金を確保できる、含み益が出ている銘柄の利益確定をできる、といったメリットがあります。

2024年から始まった新NISAでは、保有商品を売却すると翌年に非課税保有限度額(総枠)が復活するようになったため、枠を再利用できるという点も魅力的です。

NISA口座そのものを解約すると、売買手数料や提供しているサービスなどの条件が良い金融機関に変更できます。現在取引している金融機関に不満がある場合は、一度NISA口座を解約して別の金融機関で開設し直すのも良いでしょう。

NISAの積立設定を解除すると、運用資産は減らさずに手元の現金を確保しやすくなるというメリットがあります。積み立てを停止しても、それまで積み立ててきた資産は運用を継続できるため、一時的に投資資金を捻出できないタイミングなどで活用すると良いでしょう。

NISAを解約するデメリット

NISAで保有している商品の売却または口座の解約を行う場合、その時点で一度運用が停止してしまいます。運用をやめてしまうと、長期投資による複利効果のメリットを十分享受できなくなる可能性がある点に注意が必要です。

複利効果とは、運用で得られた利益を元本に組み込んで再投資することで、利息が利息を生み、どんどん資産が増えていく効果のことを指します。NISAはいつでも解約できるのがメリットでもありますが、むやみに解約を行ってしまうと、複利効果を得られずに効果的に資産を増やせなくなるかもしれません。

NISAの積立設定を解約する場合、運用はそのまま継続できるため、長期投資のメリットは比較的得やすくなります。しかし、投資タイミングが特定の期間に偏ることで、リスク分散効果が低くなってしまう点はデメリットだと言えるでしょう。

加えて、NISAでの運用を途中でやめてしまうことで、非課税保有期間を最大限活用できなくなるのもデメリットです。

NISAの非課税保有期間は無期限となっているため、数十年単位の長期運用にも利用できます。先述の通り、長期運用では複利効果によって効率的に利益を得やすいため、運用期間が長くなるほど節税効果も大きくなります。

NISAを解約してしまうと、NISAの最大のメリットである非課税効果が小さくなってしまう点に注意しましょう。

NISAを解約するときの注意点

NISAの解約を検討する際は、いくつか注意したいポイントもあります。

注意点をよくチェックした上で、解約しても問題ないか検討しましょう。

保有している商品によっては解約に手数料がかかる

NISA口座の解約に解約手数料などはかかりませんが、NISA口座で保有している商品を売却する際は「売買手数料」が必要となることがあります。

近年、ネット証券などでは売買手数料を無料としているところも増えてきましたが、各金融機関によって手数料は異なるため、あらかじめしっかりとチェックしておきましょう。

また、投資信託の場合は信託財産留保額がかかるケースもあります。信託財産留保額とは、投資信託の解約にかかる費用で、解約時に売却価格から差し引かれます。信託財産留保額が発生するかどうかは、投資信託の販売パンフレットや目論見書などで確認しましょう。

現金化までの日数は保有商品によって異なる

NISAで保有している金融商品を売却してから現金化されるまでの日数は、商品の種類や銘柄によって異なります。

商品によっては5営業日程度の時間がかかるものもあるため、すぐに手元にお金がほしいというときは注意が必要です。

NISAで保有している商品の解約を検討する場合は、受渡日がいつになるか、自分の銀行にどのように受渡代金を振り込むか、などをあらかじめ確認しておきましょう。

NISAの非課税投資枠の復活は売却した翌年

新しいNISAでは、生涯に1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)の非課税保有限度額が設けられています。

2023年までの旧NISAでは非課税投資枠の再利用ができませんでしたが、新NISAでは保有商品を売却するとその分の非課税保有限度額(総枠)を再利用することが可能となりました。

ただし、非課税保有限度額(総枠)が復活するタイミングは「売却した翌年」となるため、売却後すぐに枠を使えるようになるわけではありません。

「非課税保有限度額(総枠)がなくなったから売却してすぐに別の商品に投資しよう」などと考えている人は気をつけましょう。

また、非課税投資枠が復活しても、NISAの年間投資枠が増えるわけではないことにも注意が必要です。

NISA口座の再開設には条件がある

すでにNISA口座で商品を購入した年に口座解約をすると、同年度中の再開設はできません。NISAの金融機関を変更したい場合などは注意しましょう。

NISA口座内で購入手続きを行っていない場合は、同年中の再開設も可能ですが、NISA口座の廃止から再開設までには1ヶ月程度の時間がかかることもあります。

時間に余裕を持って手続きをしないと、同年中の再開設ができない可能性もあります。

なお、NISA口座の変更に伴う再開設の申込みについては、金融機関ごとに申込み期限が設けられているため、あらかじめ確認しておきましょう。

NISAを解約する前に検討したいこと

ここまで解説した通り、NISAの解約にはさまざまなデメリットや注意点があります。

なるべくなら解約せずに運用を継続したいものですが、家計の状況などによっては解約を検討せざるを得ない場合もあるでしょう。

ここでは、NISAを解約する前に検討したい別の手段をいくつか紹介します。

すぐに解約してしまわず、まずはこれらの方法を検討してみましょう。

積立金額を減らす

家計の状況が厳しく、投資を継続できない場合は、積立を停止するか積立金額を減らすのがおすすめです。

積立金額の変更は、積立設定の変更やオンラインなどから簡単に行えます。

積立金額を減らしたり、積立を停止したりしても、これまで購入した金融商品の運用はそのまま継続されるため、長期運用のメリットを生かしながら資産運用を続けられます。

投資銘柄を変更する

NISAでの運用状況が良くないためにNISAの解約を検討している場合は、投資する銘柄を変更するのも一つの手です。

自分のリスク許容度や求めるリターンに適した商品を選ぶことで、安定した資産運用を続けやすくなります。

ただし、運用があまりうまくいっていないと思っても、短期的な相場の下げによる場合も多いため、あまりにも短期間での売却はおすすめしません。運用を継続するべきかの判断が難しい場合は、専門家に相談してみるのもよいでしょう。

保有商品を一部解約する

急に資金が必要となって解約を検討している場合は、必要な金額のみ一部解約するのも良いでしょう。

残った部分は運用を継続できるため、全部解約してしまうよりも効果的に資産運用を行えます。

また、積立投資を行っている場合、一部解約したとしても積立設定を変更しなければ、毎月の積立は継続されます。資金ニーズや運用状況に合わせて選択しましょう。

金融機関を変更する

NISA口座で購入できる商品や手数料、サービスなどは金融機関によって異なります。商品ラインアップや提供されるサービスなどが不満な場合は、NISA口座を他の金融機関に変更することも可能です。

ただし、NISA口座の変更は手続きできる期間が決まっているため、あらかじめ確認しておきましょう。

NISA口座を変更したい年にすでにNISA口座で商品を購入している場合、口座を変更できるのは翌年以降です。

まとめ:NISA口座の解約は慎重に考えよう

今回の記事では、NISAの解約方法や解約の際の注意点、解約する前に検討したいことなどを詳しく解説しました。

NISAは長期投資を前提として設計された制度であるため、すぐに解約してしまうとデメリットの方が大きくなりやすいです。

急に資金が必要などやむを得ない理由がある場合は、解約以外の方法も検討してみるのをおすすめします。

NISAを資産運用に有効活用する方法や、自分に合った資産運用方法を知りたい方は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのがおすすめです。

NISAを解約しようか迷っている方も、資産運用アドバイスの専門家に相談することで解決方法が見つかるかもしれません。

自分の資産運用について見直したいというニーズのある方は、ぜひこの機会にFPへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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