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2024年から始まる新NISA制度とNISA制度改正をFPが徹底解説!

新nisa 制度 資産運用

令和5年度税制改正により、20241月から新しいNISAがスタートします。これまで一般NISAやつみたてNISAを活用してきた方にとっても、まだ利用したことがない方にとっても、将来の資産を効率的に形成する助けになる魅力的な制度です。

 「今のNISAから何が、どのように改正されるのか」「どのようなメリットがあるのか」といったことについて気になる方もいるのではないでしょうか。

 本記事では新NISAの概要や現行NISAとの違い、メリットや注意ポイント、新NISAを最大限活用するためのコツなどについて解説していきます。

監修者
監修者増田 諒

全国に約900世帯、約1,300名のクライアントを抱えるファイナンシャルプランナー。

年間100世帯を超える個別相談を行いながら、「ライフプランニング」「資産運用」「保険」「確定申告」「住宅ローン」「相続」等のテーマのセミナーで人気講師を務める。

【保有資格】
・MDRT入賞7回 ・TLC(生命保険協会認定FP) ・CFP ・IFA(証券外務員1種) ・ファイナンシャルプランニング技能士1級 ・宅地建物取引士 ・貸金業務取扱主任者

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2024年から始まる「新NISA」とは

「経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生 100 年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していく」という目的のもと、投資金額から得た利益について税金が発生しないNISAが、制度改革によって大幅なパワーアップを果たします。

 NISAでは従来のNISAよりも長期の非課税期間が適用されたり投資可能額が大幅にアップしたりと、長期投資にあたってさまざまなメリットを得られるでしょう。

 成長投資枠とつみたて投資枠を併用できるため、初心者の方でも気軽に投資にチャレンジできる制度に仕上がっています。 

出典:金融庁「令和2年度税制改正について-税制改正大綱における主要項目-」 

 

2023年までのNISAとの比較

2024年から始まる新NISAと、これまで親しまれてきた一般NISA・つみたてNISAは何が異なるのでしょうか。

 NISAと一般NISA、つみたてNISAの違いを一覧にまとめてみました。

新NISA 現行NISA
成長投資枠 つみたて投資枠 一般NISA つみたてNISA
対象商品 株式・投資信託(ETF含む)※一部例外アリ 現行の「つみたてNISA」と同様 株式・投資信託(ETF含む) 金融庁の基準を満たす投資信託
制度の併用 併用可能 併用不可
年間投資枠 240万円 120万円 120万円 40万円
年間投資総額 360万円 120万円 40万円
非課税限度額 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) 600万円 800万円
非課税保有期間 無期限 5年 20年
口座開設期間 恒久化 2028年まで 2042年まで
対象年齢 18歳以上の成人
買付方法 一括・積立 積立のみ 一括・積立 積立のみ
ロールオーバー 不要※現行NISAからのロールオーバーも対象外 可能 不可能

 それぞれの違いの詳細や新NISAのメリットについては、次章以降で解説していきます。

  

NISAの魅力・メリット

これまで老後の資産形成のために重要な位置を占めていたNISAですが、このたびの制度変更によって更に使い勝手がよくなります。

 ここからは、前章の「現行NISAとの比較」から、新NISAの改正で特に魅力的である部分を紹介します。

  

成長投資枠とつみたて投資枠の併用ができる

新NISAでは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」について、併用が可能になります。

 従来のNISAでは一般NISAとつみたてNISAのうち片方しか利用できず、別のNISAを利用する際は年に1回いずれかに切り替える必要がありました。たとえば株式投資で大きな利益を狙う際は、つみたてNISAは選択できず、長期の資産形成ができない欠点がありました。

 一方、新NISAでは一般投資枠が年間240万円、つみたて投資枠が年間120万円、合計360万円まで併用で投資できるようになります。2023年現在は「つみたてNISAを選択していて、特定口座で株式投資をしている」という方もいますが、新NISAでは株式投資でも非課税での投資ができるようになります。

 NISAを利用した投資戦略について、短期・中期・長期と幅を持たせた運用が可能になるでしょう。

 

制度の恒久化と非課税保有期間の無期限化が実現する

新NISAは今までのNISAと異なり、制度が恒久化されるという特徴があります。NISAの中での投資可能期間(口座開設期間)が一般NISAなら2023年まで、つみたてNISAなら2042年までと決まっていましたが、今後はいつでも口座開設が可能になります。

 また、新NISAでは非課税保有期間が無期限になる点もメリットです。現行NISAでは(ロールオーバーを加味しない場合)、一般NISA5年、つみたてNISA20年という非課税期間の条件がありましたが、新NISAではその条件が撤廃されます。

 恒久的に利益が非課税になるため、出口戦略を考えずに保有を続けることが可能になりました。 

 

年間投資枠が引き上げられる

 現行NISAでは一般NISAの年間非課税投資枠が120万円です。たとえば2023819日時点のソフトバンクグループ(9984)は株価が6,493円、信越化学(4063)は4,528円です。それぞれ100株ずつ購入すると、それだけで枠のほとんどを使い果たしてしまう計算です。

 NISAでは「成長投資枠」の年間投資枠が従来の120万円から240万円に大幅にアップします。より多くの株式に投資ができるようになり、株式投資をメインにしたい投資家の方には朗報といえるでしょう。

 一方、つみたてNISAは年間の非課税投資枠が40万円でした。毎月33,333円の積立投資をするだけで、年間の枠が全て埋まってしまっていました。

それが新NISAでは年間120万円までと、今までの3倍の枠が設定されるようになっています。よって新NISAではつみたて投資枠でも月10万円という十分な金額を投資することが可能になります。

 

売却すると非課税枠が復活するようになる

従来の一般NISAやつみたてNISAは保有している商品を一旦売却したとしても、非課税保有限度額は復活せず再利用できない仕組みでした。

NISAでは、非課税保有枠が再利用できるようになります。保有枠は1,800万円までですが、売却した分は枠が復活するので、購入と売却を織り交ぜることで1,800万円よりも大きな金額に投資することも可能です。これは新NISAでは「簿価残高方式」で総枠を管理するためです。取得価額で管理するため、商品を売却すればその商品の簿価分の枠を再利用できます。

 例えば1,800万円の投資枠を使い切った方が500万円分の金融資産を売却した場合、ふたたび上限500万円まで投資ができるようになります。

 ただし、売却した枠が復活するのは「翌年」です。よって、購入と売却を繰り返す「スキャルピング」「デイトレード」といった手法で非課税の恩恵を受け続けることはできません。

 

非課税保有限度額が引き上げられる

 これまでのNISAでは一般NISAで年間120万円、つみたて NISAで年間40万円の非課税投資枠が設定されていました。

 一方、2024年から始まる新NISAでは、「成長投資枠」で年間240万円、「つみたて投資枠」で120万円まで投資が可能です。

 また、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用も可能になるため、2つの投資枠を合計した360万円まで1年で投資ができるようになります。

 2つの制度を利用した際の非課税保有限度額(総枠)も、従来の一般NISA600万円、つみたてNISA800万から大きく増額され、最大で1,800万円までの投資が可能になります。

 

NISAの注意ポイント

非課税期間の恒久化や非課税投資枠の増額など、現行NISAから強力なパワーアップを遂げた新NISA。ただし、いまのNISAを利用している方にとって、一部で注意点があります。

 これから開設する注意点に関しては利用前に把握しておきましょう。

 

現行NISAの運用分はロールオーバーできない

NISAでもっとも注意しなければいけないことの1つが「今まで一般NISAやつみたてNISAに投資した金額をロールオーバーすることはできない」ということです。

 ロールオーバーは一般NISAやジュニアNISAで可能だった仕組みで、非課税保有期間(5年)が終了した際に、翌年の新たな非課税保有枠に移行することを指します。

 現行のNISAで投資をしている方が新NISAを始める場合、現行NISAの投資分を新NISAにロールオーバーすることはできません。現行NISAの資産を新NISAに移す場合は、一度売却して新NISA口座で再度の投資をする必要があります。

 とはいえ、新NISAが始まったあとも、現行NISAの資産はそのまま持ち続けることができます。

  

NISAに投資できる商品には条件がついている場合がある

これまで一般NISAで投資をしてきた方は、新NISAの成長投資枠で投資できる商品に一部制限が入ることは知っておきましょう。

 NISAの成長投資枠では、今までの一般NISAで投資できていた以下の商品が投資対象から除外されます。 

  • ・株式・投資信託・ETFのうち整理・管理銘柄
  • ・高レバレッジ型等の金融派生商品を特定の目的以外で利用する投資信託
  • ・毎月分配型の投資信託
  • ・信託期間が20年未満の投資信託

 新NISAの目的は長期の資産形成をサポートすることであるため、その目的にそぐわない商品は除外されるということです。

 

NISAを最大限活用するコツ・ポイント

 NISAで得られる利益は恒久的に非課税になるため、通常の投資に比べて有利な条件で資産形成を進められます。

 しかし、どんな投資をしても絶対に利益を得られるわけではありません。ここからは、新NISAを最大限活用して利益を狙うコツ・ポイントについて紹介します。

 

長く投資できる仕組みを作ることが不可欠

資産を安定的に増やしていくためには、短期的に値動きの激しい銘柄に投資するのではなく、長期で時間分散が効いた投資をすることが必要不可欠です。そのためには、長い期間にわたって健康な身体で働き、投資資金を確保し続ける必要があります。

 万が一の病気やケガで収入が激減すると貯金を取り崩すことになってしまい、投資をストップしたり、これまで積み上げてきた投資元本の一部を取り崩したりすることが必要になるかもしれません。

 そのような万が一の事態を想定し、元気なうちから、投資の目的を明確にしておくことをおすすめします。

 例えば「10年後のマイホーム購入のために500万円を用意したい」と思っている場合、いまの毎月の投資額から「いつまで投資をストップできるか」「投資をストップした分をどこで取り戻すか」という計算をすることが可能になります。

 目的もないまま投資をしてしまうと万が一の際にどれくらい取り崩せるのかのイメージがわかず、結果的に多く取り崩し過ぎてしまったり、お金の足りなさに不安を抱いて投資を辞めてしまったりする結果につながります。

  

初心者は少額から始める

NISAには「成長投資枠」「つみたて投資枠」がありますが、初心者が始める時には「つみたて投資枠」を利用して少額投資を始めることをおすすめします。

 いきなり高額のお金を値動きの激しい株式に投資すると、値下がりしたときに大きな含み損につながることがあります。含み損の大きさに耐えられずに損切りできず、さらに損失が大きくなることもあるでしょう。含み損を解消するまで売却できずに持ち続けるしかなくなる、いわゆる「塩漬け」と呼ばれる状態です。

 投資金額が少なければ、もし投資銘柄が値下がりしても精神的ダメージは小さくてすみます。値動きに心を乱されずにコツコツと投資することによって、複利効果が効いて少しずつお金は増えていきます。

 期待リターンを3%に設定した場合、毎月1万円の投資でも20年続ければ327.66万円(投資元本は240万円)になる計算です。投資金額が少額でも、時間をかけてコツコツと投資を続けることで大きなリターンを狙うことは十分に可能です。

 

投資額が10万円未満の場合は「つみたて投資枠」を活用

NISAを始めるとき、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらがおすすめかは、投資可能な資金額によって変わってきます。

 例えば月の投資可能額が10万円以下の場合はまずはつみたて投資枠の運用をベースに考えるのがおすすめです。金融庁が指定した特定の投資信託のみが投資の対象であり、長期投資に向いたインデックスファンドを選びやすい特徴があります。

 一方、「インデックスファンドだけではなく、アクティブファンドもやりたい」「投資信託と株式投資を同時に楽しみたい」という場合には、一部を成長投資に振り向けた投資を行うと良いでしょう。

 

投資額が10万円以上なら「つみたて投資枠」「成長投資枠」の両方を活用

毎月10万円以上のまとまった金額を投資できる場合は、成長投資枠をメインに一部をつみたて投資枠に振り向けることをおすすめします。

成長投資枠では年間240万円まで投資ができるので、まとまった資金量のある人が個別株に投資する際に重宝します。もし240万円の年間投資枠を超えてしまった場合、その分はつみたて投資枠を使ってインデックスファンドに投資するのがおすすめです。

NISAを最大限活用するためにも、投資金額が許す限り利用枠は全て使い切ってしまいましょう。

 

毎月のつみたて金額を増やす

すでに現行のNISAで投資をしている人は、今後の新NISAでは投資額を大幅に増やすことができます。

例えば、つみたてNISAは毎月33,333円までしか投資できませんが、2024年からの新NISAのつみたて投資枠では月75,000円(年間120万円だが総枠は1,800万円のため)まで投資できるようになります。

年率3%の投資を20年続けるという条件で、月3万円と月75,000円でどれくらい最終リターンに差が出るのか、試算してみました。

月3万円投資 月7万5,000円投資
投資元本 720万円 1,800万円
最終リターン 984.90万円 2,462.26万円
利益 264.90万円 662.26万円

単純なシミュレーションにはなりますが、投資金額を3万円から7万5,000円に増やすことで、20年後には利益が2倍以上増えている計算です。

毎日の生活で無理のない範囲で投資をすることは大前提ではありますが、将来の老後資金を確保するためには、新NISAで増えた投資枠をフル活用することが非常に大切になるでしょう。

 また、同様に成長投資枠でも、いままでの一般NISAの年120万円の2倍、年間240万円の投資枠があります。こちらもフル活用することで、将来的に大きなリターンを狙うことができます。

 

つみたての期間を延ばす

これまで解説してきたとおり、今回の新NISAの目玉の1つが「非課税保有期間が無期限になる」ということでしょう。

これまでの一般NISA5年、つみたてNISA20年という上限が決まっていましたが、ずっと非課税で持ち続けることで今までよりたくさんの非課税の恩恵を受けられるようになります。

これまでつみたてNISAで月3万円まで投資してきた人がそのままの金額で新NISAを始めるとすると、総枠1,800万円を使い切るまで50年も投資することができるようになります。

年率3%の投資を20年または50年続けるという条件で、月3万円の積立で続けると、どれくらい最終リターンに差が出るのか、試算してみました。

投資期間20年 投資期間50年
投資元本 720万円 1,800万円
最終リターン 984.90万円 4,167.96万円
利益 264.90万円 2,367.96万円

こちらも単純なシミュレーションですが、投資期間が50年にもなると非常に大きなリターンになることが分かります。これは、投資の複利効果によって、投資元本が雪だるま式に大きくなることによるものです。

毎月の投資金額を増やすよりも長期間にわたる投資の方が最終的な利益が大きいことから、今回の制度改正による非課税期間の無期限化の効果が非常に大きなものであると分かります。

 

NISA未経験の人は2024年まで待たず、すぐに始めてOK

NISA口座開設

投資に回せる資金があれば、2023年のうちから現行のNISAで投資を始めてしまうほうがおすすめです。

現行NISAと新NISAは一緒の枠が使われるわけではありません。別枠での管理になってそれぞれ並行して管理できるため、今のうちに投資を始めたほうが単純に非課税で投資できる枠が多くなります。

時間をかけて投資するほど時間分散によってリスクを抑えられることを加味すると、お金があるのに投資をしないのはチャンスロスになってしまうとも考えられます。

投資の勉強をしながら2024年まで待つという選択肢もありますが、自己資金があれば今のうちから投資を始めて実践で慣れることも検討してみてはいかがでしょうか。 

 

まとめ

NISAは「非課税期間が無期限になる」「年間投資枠が上限360万円まで増える」「非課税の総枠が1,800万円に設定される」「成長投資枠とつみたて投資枠を併用できる」など、現行NISAと比較してさまざまなメリットがある制度です。

現行NISAからロールオーバーはできないといった一部の注意点はあるものの、老後の資産形成に非常に有効であることは間違いないでしょう。

すでに投資資金が手元にあれば2023年のあいだは一般NISAまたはつみたてNISAで投資を始め、2024年からは新NISAで効率的な資産形成を始めてみましょう。

新NISA開始直前は口座開設申し込みが殺到すると考えられるので、NISA口座開設はできるだけ早いうちがおすすめです。

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